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コラムその4

90年代の本も、もはや古文書

日本語の行方はいかに?

私は古文書の書かれた背景などを調べに図書館によく行きます。図書館というのは書店とちがい、無料で本が読めることもさることながら、新刊よりもカビ臭く古ぼけた書籍がを利かせています。

その中から例えば1970年前後の本を手に取ってみましょう。改行と行間もほとんどなく、小さい文字がビッシリと印字されていて、1ページ当たりの文字数は今の新刊の二~三倍以上。

しかも値段は今と同じくらいか安いくらいなので、今の本はかつてと比べ割高だと思います。それでは本はいつから、こんなにも改行と行間だらけになってしまったのでしょうか。

恐らく二〇〇〇年代からだと思います。九〇年代はそれまでの本と変わらず、改行と行間が少ない場合が多いです。つまりインターネット登場と隆盛が、書籍の改行と行間の増加を牽引したのではないかと考えます。

勿論、改行と行間が少なく文字量が多い本が名著だとも高尚だとも限りません。私自身、2000年代以降に出された新しい本に救われた経験も多々あります。でも一般に薄い本って内容も薄くはないですか?

本題に戻すと、今からたった三〇~一〇年前の辺りの本さえ違和感を感じるようであれば、江戸時代の古文書以前に、明治~戦前に書かれた近代文学すらチョー読みづらいに違いない。でこの度、近代文学で覚える異体字と歴史的仮名遣いというコーナーを新設してみました。

ネットが席巻し、英語英語と叫ばれ、既にカタナカで溢れかえってしまった日本で、日本語が生き残れるかどうか。さういう瀬戸際の時代に今、私達は立たされているのだと思ひます。

コラム

1.十返舎一九 2.江戸時代の婚カツ事情 3.御用留 4.90年代の本

5.もしも江戸時代の人がコロナに遭遇したら

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