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引札暦4

月の大小とは 毎年変化の旧暦から固定の新暦へ

明治初期の人は、確認しないと今年の大の月と小の月がわからない?月の大小を引札暦を用いて解説します。

史料

大小_引札暦(太陽暦)

※無断転載禁止

解読文(青枠内)

原文

  • 大:一・丗一日(一日いぬ、辰十一月十四日)、三(一日とり、正月十三)、五(一日いぬ、三月十六日)、七(一日い、五月十八日)、八(一日午、六月廿日)、十(一日ひつし、八月廿二日)、十二(一日さる、十月廿四日)
  • 小:二・平廿八日(一日み、十二月十五日)、四・丗日(一日たつ、二月十五日)、六(一日み、四月十七日)、九(一日うし、七月廿一日)、十一(一日とら、九月廿三日)

史料の見方

青枠の真ん中は月、右側は第1日目の干支、左側は第一日目の旧暦の日付を記す。

一月は「一(丗一日・一日いぬ・辰十一月十四日、)」則ち「1月は31日あり、第1日目の干支は戌(いぬ)で旧暦で辰(たつ)年の11月14日にあたる」の意。二月は「二・平廿八日(一日み、十一月十五日)」則ち「2月はふだん28日あり、第1日目の干支は巳で旧暦で11月15日にあたる」の意。以下現代語訳も参照のこと。

現代語訳

大=31日の月

明治26(太陽暦) 1/1 3/1 5/1 7/1 8/1 10/1 12/1
十二支
旧暦(太陰暦) 11/14 1/13 3/16 5/18 6/20 8/22 10/24

小=28、30日の月

明治26(太陽暦) 2/1 4/30 6/1 9/1 11/1
十二支
旧暦(太陰暦) 12/15 2/15 4/17 7/21 9/23

解説

大小とは

大小とは、大の月(31日)と小の月(28日、30日)のことです。よって史料右側の大は一、三、五、七、八、十、十二の31日の月が、左側の小は二、四、六、九、十一の28日と30日の月が並んでいます。

旧暦と現行暦の違い

旧暦(太陰暦)から現行の太陽暦への変更は、明治六年(1873)に行われました。旧暦の場合は、江戸時代伊勢暦文久二年)にあるように月の大小が年によって変わります。

しかし周知のとおり現行暦(太陽暦)は変わりません。よって史料が「大」と「小」に分けているのは、旧暦時代の名残です。こちらの引札暦には、旧暦の大小が記載されています。

なお上記現代語訳を見ての通り、旧暦の日付は現行暦の日付の一ヵ月~一ヵ月月半後に遅れてやって来ますが、干支十干十二支)は旧暦も現行暦も同じです。現代においても、今日は旧暦何日か知りたい場合もあるでしょう。理屈としては上記現代語訳のとおりなので、ご参考ください。

史料情報

  • 表題:武州小川町 紙荒物 新井茂三郎[引札]
  • 明治25年11月/日印刷出版、印刷兼発行者・横山良八
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家4825
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引札暦

新暦(太陽暦)

1.概要 2.略暦 3.皇紀 4.大小 5.国民の祝祭日

6.明治改暦 7.二十四節気と雑節 8.日曜日の歴史

旧暦(太陰暦)

9.概要 10.三鏡宝珠形 11.八将神 12.歳徳神 13.金神

14.干支のお祭り 15.八専 16.旧暦の大小

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