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荻生徂徠・政談その3

譜代奉公人と出替り奉公人

譜代奉公人と出替り奉公人

武士の非正規雇用の増加

さて、ここからはいよいよ荻生徂徠の政談で江戸時代の実体を見て行きたいと思います。

徂徠は近年、「出変り奉公人が盛んになって、武家には譜代奉公人が絶えてなくなった。」と政談の中で報告しています。つまり現代で言うところの、正社員が少なくなって非正社員が増えた、と同じ様な状況です。

譜代の奉公人

譜代の奉公人というものは具体的にはどのような者なのでしょうか。徂徠は政談(巻一)の中で下記ように説明しています。

譜代の奉公人

長所

「譜代者は先祖の家風をも覚えており、また主家に長くいれば、親類も見知って、身分が低いながらも恥を知っている。自分も主人の恩にて育った者なれば、主人の子を育てる心意気は格別なり。」

短所

「譜代は面倒なものだ。家内にて生まれ出る者ならば、幼少より助けて面倒を見てやらなければいけない。成人しても、衣食につき、諸事につき、指図しながら使うので、やはり世話をしてやらなければならない者である。」

「譜代は我が家に属したる者にて、外へ行くべき所がなければ、見放す事は難しい。」

出替り奉公人とは

出替り奉公人についてはどうでしょうか。徂徠は政談(巻一)の中で下記ように説明しています。

出替り奉公人

長所

「出替り者は一年限りの契約なれば、悪き者にても一年こらえればたやすい。悪事があれば保証人に引き渡して、主人は世話をしなくてよい。衣類諸事、皆、出替り者が自分でするので世話がかからない。」

短所

「出替り者ばかり召し使うと、自然と家来との間に哀れみやいつくしみはなく、一年限りなのでその心は、互いに道ですれ違っただけのような気持ちでいる。」

このままでは武士道の衰廃!

そして徂徠は、

「譜代者がいなくなって、皆、出替り者にばかりになったのは武士道の衰廃にて、武家の為には極めて悪きことなりと知るべし。」「この事情がよく分かったなら、今後、武家に譜代者が出来るように尽くすべきことなり。」

と言っているのですが、どうやって?ということで、次項から徂徠が考えた譜代の奉公人を増やす方法を見ていきましょう。

  

政談の現代語訳について

当サイトの政談の現代語訳は、吉川 幸次郎, 丸山 真男, 西田 太一郎, 辻 達也 (著)『日本思想大系〈36〉荻生徂徠 (1973年) 』(岩波書店、1973年)をもとに当サイトの運営者が現代語訳しました。

その際、荻生 徂徠 (著), 尾藤 正英 (翻訳)『荻生徂徠「政談」 (講談社学術文庫) 』(講談社、2013年)も参考にさせていただきました。

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1.荻生徂徠とは/2.政談とは/3.譜代と出替り奉公人/4.旅宿暮らしの武家

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