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伊勢暦4

八将神 暦の先頭上部に記される

史料

伊勢暦_八将軍

※無断転載禁止

解読文(青枠内)

原文

  • 大さい・いぬの方:此方ニむかひて万よし、但木をきらす
  • 大しやうくん・むまの方:ことしまて、三年ふさかり
  • 大おん・さるの方:此方ニむかひて、さんをせす
  • さいけう・ひつしの方:むかひて、たねまかす
  • さいは・たつの方:むかひてわたましせす、ふねのりはしめす
  • さいせつ・うしの方:此方より、よめとらす
  • わうはん・いぬの方:むかひて、弓はしめよし
  • へうひ・たつの方:むかひて大小へんせす、ちくるいもとめす

※史料右下・赤枠内の図は、上記八将軍と金神の位置を示す。

現代語訳

  • 太歳(たいさい):戌の方角に向かって万事よし。但し木を切らない。
  • 大将軍(だいしょうぐん):午の方角は今年まで三年塞がり。
  • 大陰(だいおん):申の方角に向かって出産しない。
  • 歳刑(さいきょう):未の方角に向かって種をまかない。
  • 歳破(さいは):辰の方角に向かって移徙(転居)や舟のりをしない。
  • 載殺(さいせつ):丑の方角に向かって嫁をとらない。
  • 黄幡(おうばん):戌の方角に向かって弓始めするのがよい。
  • 豹尾(ひょうび):辰の方角に向かって大小便しない、家畜を購入しない。

解説

八将神(はっしょうじん)とは八将軍とも言い、陰陽道でその年の方位の吉凶をつかさどります。伊勢暦において、三行目以降の上段に記載されます。

八将神所在方位は、その年の十二支のように定まります。伊勢暦(史料)二行目に「文久二年みつのえいぬ」すなわち「文久二年壬戌」なので、この年の十二支は戌(いぬ)。よっての戌の行を上から下に見ていくと、当史料記載の方角とピッタリ一致することが確認できると思います。

おさらいに引札暦に記された八将神の方角もチェックしてみてください。

参考文献

  • 伊東和彦「第三章 暦の内容」『暦を知る事典』(東京堂出版、2006年)92-94頁

史料情報

  • 表題:伊勢暦 天保壬寅元暦 文久2年
  • 暦師:山口右兵衛/形態:折本
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家4031
  • 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
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伊勢暦

概要/表題:暦師 年号 干支、シンボル:三鏡宝珠形

上段:八将神、中央:歳徳神金神、下段:土公神大小

月建:月の干支二十八宿と七曜正月行事十二直

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