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用語集1

候文における被と可の読み方

古文書(候文)では、被や可がよく出てきますが、慣れないと「読み」が難しいので整理しました。

被と可の読み方

表:被と可 活用形

未然 連用 終止 連体 已然
被(らる・る) られ・れ られ・れ(候) らる・る(可) らるる・るる らるれ・るれ
可(べし) べから べく(候) べし べき(旨・事) べけれ

(そうろう)は、動詞や助動詞の「連用形」に付きます。従って文末が候の場合、上の表の規則により、被候は「られ」そうろう、可候は「べく」そうろう、と読みます。

可は活用語の「終止形」に付きます。従って可被〇候は、〇さ「る」べくそうろう(〇→被→可→候)と読みます。これを踏まえて、以下の例文に挑戦してみましょう。

例文

① 御停止被 仰付候

  • 読み:ごちょうじ おおせつけられ そうろう
  • 意味:禁止するよう命じられました。/停止(ちょうじ)は禁止の意。

② 御法度之儀可相守御座候

  • 読み:ごはっとのぎ あいまもるべく ござそうろう
  • 意味:法令の事柄は守りなさい。

③ 御手判可被下候

  • 読み:ごてはん くださるべく そうろう
  • 意味:通行手形をお与えください。

用語解説

用語(読み方):意味/解説

  1. (そうろう):です/文末に用いる。候の前にニ而(にて)置き、~ニ而候などすると締まりがいい。
  2. 御座候(ござそうろう):ございます。/1.候の丁寧語。
  3. 御(おん・お・ご):名詞や動詞の前につけて尊敬や丁寧をあらわす。/御代官、御法度など。
  4. 被 仰付(おおせつけられ):命じられるの意。/被と仰付の間に闕字(けつじ)が入る場合が多い。
  5. 之(の・これ):意味は現代と同じ。/右之通(みぎのとおり)、相談之上(そうだんのうえ)等。
  6. 可相守(あいまもるべく)守りなさい。/相は名詞や動詞の前について語調を整える役割がある。
  7. 義・儀(ぎ)/こと・~について。/「私義」(わたくしのぎ)は「わたしのことは」の意。

古文書用語集

1.被と可の読み 2.候の用例 3.記号 4.現代語 5.変体仮名早見表

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