くずし字で楽しむ江戸時代

古文書ネット

  1. HOME
  2. 浮世絵
  3. 植学啓原

植学啓原6

御前橘、禾本、露草の花の構造

江戸時代の植物図鑑を通して、御前橘、禾本、露草などの花の構造を紐解きます。

史料

禾本、ツユクサなど

※無断転載禁止

解読文および解説

第九図

○御前橘(ゴゼンタチバナ)

ミズキ科の常緑多年草。アジア北東部~北米の高山の林下に生え、日本でも見られる。対生した葉が六枚が輪生状に集まる。名は、最初に発見された地名(白山 御前ヶ峰)と果実の付き方が橘に似ていることに由る。

  • 四葩之白苞四出之小白花ヲ積ス:四葩(はな)の白苞(ほう,花の基部につく葉)は、四出の小白花(左図)を載せる/跋加
  • 一小白花、卵巣

○禾本(ガラス/ホンドスガラス)

かほん、grass。イネ科の植物をさす。花は小穂と呼ばれる独特な構造で、小穂自体が小さな花の集まり。小穂は包穎、外花穎、内花穎などがあり、内花穎に包まれて雄しべ雌しべがある。「禾本諸草は花弁無し、唯或は内外の二穎(カフ)有りて、花頭(リン)と為す。(植学啓原巻之二、四)」

  • 髯蕊茆如:髯蕊、茆(ボウ/茅)の如し
  • :内外穎、乙:鬚蕊(しべ)、丙:心蕊、丁:卵巣

第十図

○鴨跡草(コムメリナ)

露草(ツユクサ)また月草、鴨跖草(つきくさ)。ツユクサ科の一年草。花弁は三枚あり、上の二枚は藍色で大きく、下部の一枚は白くて小さくて目立たない。「其形、殻の如し(前書巻之二、四)」

  • 蜜槽小花如:蜜槽(みつそう)小花の如し/心蕊、髭心蕊、苞/実、心蕊

○単繖花(エンケルデ) ○複繖花(サーメンゲステルデ)

繖(サン)は散に通用。枝につく花の配列状態を花序(かじょ)といい、散形および複散形花序を示す。

  • 総繖萼、総繖花梗(かこう,花の柄)、各繖萼、各繖花梗

史料情報

  • 表題:植学啓原 3巻合綴
  • 年代:天保5(1834)/宇田川榕庵著、菩薩樓蔵版
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3954
  • 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
  • ※無断転載を禁止します。

植学啓原

1.宇田川榕庵 著 2.根や球根 3.根の断面、シダ 4.コケやキノコ

5.ツクバネ、水仙 6.御前橘、露草 7.外国の花 8.蘭や菫

9.マメ、キク科 10.リンネ二四綱 11.花粉

関連記事

麻疹絵:軽くする法心得方/鯰絵:持丸たから地震雷火事親父