くずし字で楽しむ江戸時代の暮らしと文化

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旅行用心集その4

旅の前日

史料

旅行用心集_旅の前日

※無断転載禁止

解読文(左ページ)

旅行用心集/道中用心六十一ヶ条

一 初(はじめ)て旅立(たびたち)の日は、足(あし)を別而(へつして)、静(しつか)に踏立(ふみたて)、草鞋(わらし)の加減等(かけんとう)を能試(よくこころみ)、其(その)二、三日が間(あひだ)は所々にて、度々(たひ/\)休(やすみ)、足(あし)の痛(いたま)ぬやうにすべし

出立(しゅつたつ)の当座(とうざ)には、人々心はやりて、おもはず休(やすみ)もせず、荒(あら)く踏立(ふみた)るものなり、足(あし)を痛(いたむ)れば、始終(しじやう)の難義(なんぎ)になることなり

兎角(とかく)はじめは、足(あし)を大切(たいせつ)にするを肝要(かんよう)とす

現代語訳

旅行用心集/道中用心六十一ヶ条

一 初めて旅立つ日は、足をとりわけ、静かに地に踏みしめて立ち、草鞋(わらじ)の加減等をよくみて、その二、三日の間は所々で度々休み、足が痛まないようにすること。

出発の折には、人々の心ははやって、思わず休もせず、荒く地を踏みしめるものだ。足が痛くなれば、始終難義することになる。

兎角(とかく)はじめは、足を大切にすることが肝要である。

このくずし字に注目

足 等 能
あし とう よく
旅行用心集では足はこのくずし字でこの後も出てきます。 等はカタカナの「ホ」のようにくずします。 「充分に」「うまく」「しっかりと」の意味。
当坐 難義
当坐 難義
とうざ なんぎ
「その折」の意味。ここでは当座を当坐と記してます。 古文書超頻出用語で、意味は現在と同じです。

解説

旅行用心集では旅行の心得を六十一カ条について述べており、史料はその第一条になります。

江戸時代の中後期ともなると、農村の人々の生活も安定してきて旅行がブームとなりますが、それでも現代みたいに頻繁に旅行に行けるわけではありません。

代参講(だいさんこう)と言って、村でお金を貯めて、自分の順番が来た時、通行手形を発行してもらい、はじめて村の外に出てお伊勢参り等に行く、それが生涯で最初で最後の大旅行ー―という人も少なくありません。

旅行用心集の第一章が「足を大切にすること」から始まるのも、お伊勢さんまでの交通手段が基本、徒歩であることは勿論のこと、江戸時代が旅行に行く感覚は恐らく現代人が大気圏を出て月まで行くくらいの覚悟が必要だったのだと思います。

  

史料情報

  • 表題:旅行用心集
  • 年代:文化 7(1869)/出所:八隅芦庵/宛所:須原屋伊八外/形態:竪帳
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3361
  • 当サイトは埼玉県立文書館から掲載許可を頂いてます。
  • ※無断転載を禁止します。

旅行用心集

1.旅行用心集とは/2.東海道、木曽路Ⅰ/3.東海道、木曽路Ⅱ/4.旅の前日

5.持ち物について/6.宿の確認事項/7.毒虫にはご用心/8.馬、駕籠などの手配

9.夏の食べ物/10.ソリの種類/11.雪かきの道具/12.頭巾や帽子

13.履き物その1/14.履き物その2/15.白澤の図/16.旧国名・日本地図

17.足のツボ/18.旅行用バッグ/19.旅行の持ち物/20.日記の書き方/21.天気予報

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