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西洋時計便覧2

西洋時計と日本の時計との違い

明治初期の時計マニュアルから、西洋と日本の時計の現状と違いについて紐解きます。

史料

西洋時計便覧_西洋と日本の時計の違い

※無断転載禁止

解読文

西洋時計便覧(セイヨウトケイベンラン)

夫時計(トケイ)は。一昼夜(チウヤ)の間の時刻(ジコク)を測(ハカ)る具(グ)にして。万民必要(ヒツヨウ)の器(ウツハ)なり。

其法元来西洋より伝(ツタ)はり。世に行はたる事既(スデ)に久しく。矢倉(ヤグラ)時計。柱(ハシラ)時計。掛(カケ)時計。尺時計の類。様々ありて。皆人の知る所なれども。

是迄の和製(ワセイ)の時計は。昼夜(チウヤ)の十二時を知らするのみにて。一時の間の細(コマカ)き分割(ブワリ)に至りては。是を委(クハ)しく知る事あたはず。

今西洋より舶来(ハクライ)する時計は。何れも三本の針(ハリ)をそなへ。短針(タンシン)は時を指(サ)し。長針(テフシン)は分時(ミ二ユウト/ブンジ)を指(サ)し。小針(シン)は秒時(セコンド・ペウジ)を指(サ)す。凡一昼夜(チウヤ)を廿

現代語訳

西洋時計便覧(せいよう とけいべんらん)

それ時計は、一昼夜の間の時刻を測る具にして万民必要の(うつわ)だ。その法は以前より西洋より伝わり、世に行われること既に久しく、矢倉(やぐら)時計、柱(はしら)時計、掛(かけ)時計、尺時計の類様々あって皆人の知る所だ。

なれども、これまでの和製の時計は昼夜の十二時を知らすのみにて、一時の間の細かき分割(ぶわり)に至ってはこれを委(くわ)しく知ることができない。

今西洋より舶来する時計は、何れも三本の針をそなえ、短針(たんしん)は時を指し、長針(ちょうしん)は分時(ミニット/ぶんじ)を指し、小針は秒時(セコンド・びょうじ)を指す。およそ一昼夜(チウヤ)を二十

解説

明治二年刊行の『西洋時計便覧』は、読点(、)はなく句点(。)を多用。活字で古文書に見られるくずし字はありませんが、改行はありません。

仮名は変体仮名であり、現代と文章書き方が多少違う分、大なり小なり読みづらいと思います。万は萬、伝は、所、迄は迠、凡は凢として異体字(旧字)で記しています。

時計は「世に行われること既に久しく」「皆人の知る所」だが「和製の時計は昼夜の十二時を知らすのみにて、一時の間の細」かい時刻を「知ることあたわず」。…ということが史料からわかります。

史料情報

  • 表題:西洋時計便覧
  • 年代:明治二年(1869)/柳河春三著、柳河氏采英書屋刻・東京 宝集堂発兌
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3335
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西洋時計便覧

1.柳河春三 著 2.日本との違い 3.種類や特徴

4.懐中時計 表面 5.開図 6.調整 7.刻み方 8.見方

9.図解 時計の読み方 10.不定時法対応表

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