くずし字で楽しむ江戸時代

古文書ネット

  1. HOME
  2. 入門講座
  3. 引札暦

引札暦14

干支のお祭り 甲子・庚申・己巳

史料

甲子、庚申、己巳_引札暦(太陰暦)

※無断転載禁止

解読文(青枠)

MEMO:各段、右から左に読む。己巳は(十干の)「己」が異体字で記載されている。

解説

史料(引札暦)の青い枠内には干支(えと)の、甲子・庚申・己巳の日付が記載されています。干支は十干(じっかん)と十二支の組み合わせで六〇種類あります。則ち干支お祭りは、六〇日に一度巡ってきます。また暦注に記載されるようになったのは比較的新しく、明治改暦からです。

甲子(きのえね)

甲子は、六十干支順位表で一番目に位置する干支。甲子の日の夜は、子の刻(深夜12時)まで起きて、商売繁盛五穀豊穣などを子(ネズミ)を使者とする大黒天に祈り、祀ります。また大豆・黒豆・二股大根食しました。この祭りは甲子待(きのえねまち)、甲子祭、甲子講などとも呼ばれています。

そもそも当史料は大黒天が、上から小判をばらまいているイラスト付きなのでチェックしてみてください。

「きのえ」は十干、「ね」は十二支の初めであり、陰陽道ではこの組み合わせの干支が祭りを行う最も吉日と説きます。

いつ?

  • 令和六年(2026):1月1日・3月1日・4月30日・6月29日・8月28日・10月27日・12月26日

庚申(コウシン)

庚申は、六十干支順位表で五七番目の干支。この日は庚申様を祀り、夜を徹して飲食などを行い、古くから無病息災長寿など現世利益の信仰を集めてきました。庚申待(こうしんまち)、宵(よい)庚申とも呼ばれています。庚申講として金融組織にもなりました。

いつ?

  • 令和六年(2026):2月26日・4月26日・6月25日・8月24日・10月23日・12月22日

己巳(つちのとのみ)

己巳は六十干支順位表で六番目の干支で、甲子・庚申と同様に六〇日に一度巡ってきます。この日は、(ヘビ)を使者とする弁財天を祀る日です。

いつ?

  • 令和六年(2026):1月6日・3月6日・5月5日・7月4日・9月2日・11月1日・12月31日

参考文献

伊東和彦「第三章 暦の内容」『暦を知る事典』(東京堂出版、2006年)116-117頁

史料情報

  • 表題:小川稲荷町 呉服太物類 小島周太郎[引札]
  • 明治25年11月/日出版、印刷兼発行者・秋山亦太郎
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家4827
  • 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
  • ※無断転載を禁止します。

引札暦

新暦(太陽暦)

1.概要 2.略暦 3.皇紀 4.大小 5.国民の祝祭日

6.明治改暦 7.二十四節気と雑節 8. 日曜日の歴史

旧暦(太陰暦)

9.概要 10.三鏡宝珠形 11.八将神 12.歳徳神 13.金神

14.干支のお祭り 15.八専 16.旧暦の大小

関連記事

無尽証文子安講