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吉田市右衛門6

父の遺言

史料

父の遺言_吉田市右衛門文書6 

※無断転載禁止

問題

父は、私(市右衛門)に遺産をどのように使うよう言い遺しましたか。史料から紐解いてみましょう。

解読文

原文(右頁)

入等も不行届格別困窮仕、依之御願申上候者、亡父助左衛門義去々酉年十月中死去仕候、末期之節私江申聞候者、貯金千両有之候間、猥ニ不費様大切心掛、右金子を以て当村四方寺村両村無難相治候様、

常々心掛可罷在旨、且潰百姓壱軒分凡金高三拾両宛義有之候ハ、取立可申哉ニ申聞置候、且又吉岡次郎左衛門様代官所日向村之儀水損場ニ而

読み下し文

入等も行き届かず格別困窮仕り候、これより御願い申上げ候は、亡父助左衛門義去々(きょきょ)酉年十月中死去仕り候、末期の節私へ申し聞き候は、

貯金千両これ有り候あいだ、猥りに費やさずよう大切心掛け右金子を以て、当村ならび四方寺村両村難無き相治め候よう、常々心掛けまかり在るべく旨、且つ潰れ百姓壱軒分およそ金高三拾両宛つ義これ有りそうらわば、取立て申すべきやに申聞き置く候、且又吉岡次郎左衛門様代官所日向村の儀水損場にて

現代語訳

(<<四方寺村は手)入等も行き届かず、とりわけ困窮しています。これより御願い申上げたきことは、亡父・助左衛門義がおととし(文化十年)年十月中に死去し、末期の折りに私へ言い付けたことです。

「貯金千があるので猥りに費やさずよう大切に心掛け、この金子をもって当村ならび四方寺村両村が支障ないよう治めるよう常々心掛けよ。且つ破産した百姓一軒分およそ金額三〇両宛つあるので、これで救済するがよかろう。」

そのうえ「吉岡次郎左衛門様代官所・日向村の水害に見舞われた場所では…

解読

  • 去々年(きょきょねん):一昨年、おととし。
  • 候間(そうろうあいだ):~ので。
  • 候ハヽ(そうらわば):~したならば。
  • 金高(きんだか):金銭の合計額。
  • 申聞(もうしきかす):言い付ける、命じる。

江戸時代の学問・教養のベースは儒教により、遺言についてはの視点からを解読するとよいでしょう。

史料情報

  • 表題:記録二
  • 年代:文政11.10./出所:吉田市右衛門
  • 埼玉県立文書館所蔵 吉田(市)家7
  • 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
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吉田市右衛門

1.吉田市右衛門とは 2.文書概要 3.村の由緒 4.父の事業

5.人口減少 6.父の遺言 7.水害の影響 8.幕府へ貸付

9.水害村救済 10.結びの言葉 11.差出人と宛名

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