解読文
原文
覚/一 此度御代官・矢嶋藤蔵様御手代ゟ急御廻状壱通御順達被下右之通、無相違慥ニ請取、為念如此御座候、以上/柴村名主・四郎兵衛㊞/巳八月十一日/板井村 御役人御中
読み下し文
おぼえ/一 このたび御代官・矢嶋藤蔵様御手代より急御廻状(きゅうごかいじょう)壱通ご順達下され右の通り、相違無くたしかに請取り、念の為かくのごとく御座候、以上(以下解読文に同じ)
現代語訳
覚(表題・特に意味はない)/このたび御代官矢嶋藤蔵様の手下より急の御廻状一通が送られてきたので右の通り、間違いなく確かに請取りました。念のため、この通り記しました、以上。
解説
廻状とは
廻状(かいじょう)とは、回章(かいしょう)とも言い、領主が村から村へ用件を通達した書状。
各村の名主は、村名の下に捺印し次の村へ渡し、最後の留り村から代官所など発給村に戻しました。なお、順達(じゅんたつ)とは、廻状などを順送りすることをいいます。
急廻状
急廻状(きゅうかいじょう)とは、「いそぎかいじょう」とも読み、緊急のため急いで閲覧しなければならない廻状です。
史料
史料の差出人の柴村は、村絵図で確認でき、小江川村・塩村とともに板井村に隣接しています。
恐らく廻状の順番は代官矢嶋→板井村→(各村)→柴村。現物の廻状は手元に残りませんから、板井村が当史料を受け取ることにより、廻状が順達されたことが確認できたでしょう。
廻状のケースだけでなく古文書では、拝見一札などとして、□□が○○を拝見しましたと◇◇宛てに記した文書のたぐいは数多く残っています。現代においても、発信したメールに対し返信がないと不安になりますので、同じ理屈です。
史料情報
- 表題:覚(急廻状壱通請取ニ付)
- 埼玉県立文書館所蔵 飯島家565
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