離縁状の書式
往来物(江戸時代の教科書)の中には、下記のように三行半(みくだりはん)と呼ばれる離縁状の書式を収録しているものがあり、離縁状の多くは実際、これらを参考にして書かれました。
りゑん状
一、其方我等(われら)勝手(かつて)二付、
此度離縁(りえん)致候、然ル上ハ、向
後(こうご)何方(いづかた)江、縁付(えんつき)候共、差構(さしかまへ)
無之(これなく)、仍(よつて)如件
夫
誰
たれどの
出典:高木侃『三くだり半からはじめる古文書入門』(柏書房、2011年)142項
史料の場合
史料の場合は表題はないものの、本文は三行半、差出人㊞・日付・宛名で江戸時代の離縁状の体裁は整っています。然しながら原文は、一字一句同じというわけにはいきません。
三行半と一口にいっても、次項三下半を見てもわかるように、なかなかバリエーション豊富です。ゆえに古文書に慣れた方でないと、文章が短いわりに解読が難しいかもしれません。
ともあれ、きほんの書式と特徴をおさえておけば、解読の際の助けとなるでしょう。
史料情報
- 表題:[離縁状]
- 年代:天保5. 7./出所:和十郎/宛名:たみ
- 埼玉県立文書館所蔵 平山家3984
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