解読文
原文
御頼申証文之事/一 私倅喜平次儀酒狂之上此外成儀有之、殊ニ是迄身持不埒ニ付、
親類組合度々異見不申聞候得共、一切相聞不申無拠此度御役人中ヘ願上候者、何卒御威功(劫)を以、躮喜平次御叱之上、身持体実之相成候様、御異見被成下候様、奉願上候、万一御役人衆中江対し、不法之挨拶此上、御屋敷様迄も御窺被成候而成共可然様願上候、且入用等之儀無念差出可申候、以上
寛政八年辰ノ七月/平山村 当人・伊平次㊞、親類・又右衛門㊞、同五人組・権右衛門㊞、同断・勘右衛門㊞、勘左衛門㊞/御役人衆中
>>読み下し文
現代語訳
お願い申し上げる証明の文書のこと/ひとつ、私の倅・喜平次のことは酒狂の上この外あり、とりわけこれまで品行がよくないので、親類・組合が度々忠告して言い付けましたが一切聞かず答えません。
やむを得ずこの度御役人の方々へお願申し上げ、何卒御威光をもって倅喜平次お叱りのうえ、品行の風がまことになるよう、御忠告してくださいますようお願いします。
万一御役人様方々へ対し、道理に反する返答をしましたら、旗本(三枝)様までもお窺いして然るべきようお願いします。また費用等のことはきちんと差し出します。以上
寛政八年辰(1796)七月/(武州入間郡)平山村(埼玉県入間郡毛呂山町/旗本三枝氏知行所,一給)当人・伊平次㊞、親類 又右衛門㊞、同五人組 権右衛門㊞、同組 勘右衛門㊞・勘左衛門㊞/御役人の方々
解説
村には無尽と呼ばれる抽選会や、庚申あるいは伊勢参宮を目的とした講など様々な集まりがあります。これらは飲食――酒が伴う場合も珍しくありません。百姓というと、田植や稲刈りを大真面目に従事しているイメージがありますが、暮らしの中で様々な誘惑も大なり小なりあったでしょう。
当史料は2018年夏に教室の生徒さんたちと解読した文書。ストーリー性のある証文で、後日談があります。気になる方は次頁の史料にチャレンジしてみてください。
読み下し文
御頼み申す証文の事
一(ひとつ) 私倅喜平次儀酒狂の上、この外成る儀これ有り、殊にこれまで身持ち不埒(ふらち)に付、親類組合度々異見(いけん)申し聞かずそうらえども、一切相聞き申ずよんどころ無き、この度御役人中ヘ願い上げそうろうは、何卒御威功(劫)(いこう)をもって、躮(せがれ)喜平次御叱りの上、身持ち体実の相成りそうろうよう、御異見(いけん)くだし成されそうろうよう、願上げ奉り候、万一御役人衆中へ対し、不法の挨拶この上、御屋敷様までも御窺り成されそうらいてなりとも然るべき様願上げ候、且つ入用(にゅうよう)等の儀、無念差出し申べく候、以上(以下略)
史料情報
- 表題:御頼申証文之事
- 埼玉県立文書館所蔵 平山家3338
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