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暦講座1

陰陽五行説とは 古代中国の万物自然観

目次

五行相当表陰陽五行とは概論陰陽説五行説

批判朝鮮・日本参考文献暦講座関連記事

五行相当表

五行 五色 五常 十干 十二支 易卦
歳星・木星 甲,乙 寅,卯,辰 旧一,二,三月 震・☳
熒惑・火星 丙,丁 巳,午,未 四,五,六月 離・☲
中央 土用 鎮星・土星 戊,己 辰,未,戌,牛
西 太白・金星 庚,辛 申,酉,戌 七,八,九月 兌・☱
辰星・水星 壬,癸 亥,子,丑 十,十一,十二月 坎・☵

陰陽五行説とは

概論

陰陽五行説(いんよう-ごぎょうせつ)とは、万物を分類し、現象を表した古代中国哲学。本来別々の二つの説である陰陽五行が、組み合わさって一つになっています。

陰陽説

太極
太極

陰陽説は、天地昼夜・寒暑・男女など全ての万象は二項対立で成り立っているとして、陰気と陽気から説明した考え方。

陰陽説の重要な核は、古代中国の占いの書『易経』。また韓国国旗の真ん中は、陰陽を示す太極が置かれています。

五行説

五行説は、全てのものは木火土金水の五つの元素から構成されるという考え方。五行相当表を見れば一目瞭然と思われますが、以下に補足。

  1. 木気:季節でいうと木の芽時、青々としているので色は青、方角は東、季節
  2. 火気:色は赤、方角は南、季節は
  3. 土気:色は黄色、方角は中央、季節と季節を結ぶ中央が土用
  4. 金気:冷たく光る金属により色は白。五気のうちで最も固く、その季節は万物を固く結実するゆえに秋。よって方角も落日の西。
  5. 水気:水は暗く低い所に集まるので色は黒。よって季節は冬、方角は北。

批判

陰陽五行説の影響は儒教にも及びますが、儒者からの批判もあります。

『荀子』非十二子篇

「上古のことを考えて自説をたて、それを五行と呼んでいるが、はなはだ片寄っていて基準がなく、奥深そうで説明がなく、要約だけで解説がない。(中略)子思(しし:孔子の孫)がこれを唱え、孟子がこれに和した世俗の愚昧な儒者どもは、口やかましく論じたてるけれども、その誤っていることが分からない。」

荻生徂徠『弁名』陰陽・五行 二則

「後世、陰陽を説く者、その曼衍(まんえん)して、つひにこれを人の道に被(こうむ)らしむるに至る。」

「五行は始めて虞書(ぐしょ)に見ゆ。水・火・金・土・、これを六府と謂ふ。これ地上の六物を言ふなり。(中略)然れども五行の名は、すなわち洪範(こうはん:書経の篇名)に至りて始めてこれあり。(中略)

けだし天地の間、物はなし(無数にある)。しかも水・火・木・金・土の五者を出(い)でず。動物は算なし。(中略) 声色臭味もまた算なし。しかうして得て端倪(たんげい:知りつくす)すべからざるなり。(中略)洪範はけだし巫者の伝ふる所にして(中略)今は伝を失ふなり。(中略)

陰陽・五行は、つひに儒者の常言となる。その説牽強(けんきょう:こじつけ)にして、通ずべからざるに殆(ちか)し。」

朝鮮・日本

朝鮮半島や日本など東アジアは事実として、古代中国思想を積極的に輸入し、活用してきました。

例えば陰陽五行説の視覚的な例として、朝鮮王朝王冠九章紋(紋様)・ファロッ(華衣)・花冠(花嫁冠)、日本では北条氏康軍旗など。また暦に、江戸時代伊勢暦や明治時代の引札暦の、納音の五行八専などが挙げられます。

荀子も徂徠も陰陽五行説が「曼衍(まんえん)」しているから批判したのであって、歴史を紐解く者、知らずに済ますことはできないことは確かです。

参考文献

暦講座

1.陰陽五行説 2.十干 3.十二支 4.土用の丑の日 5.干支

6.八将神 7.金神 8.歳徳神 9.二十八宿 10.十二直

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