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旅行用心集その20

日記の書き方

史料

日記の書き方

※無断転載禁止

解読文

○道中にて日記認方(したゝめかた)之事

道中にて名所(めいしよ)旧跡(きうせき)を尋(たつね)、風景(ふうけい)の能(よき)所又は珍敷物等に見聞たるならば、

何月何日何所にて何を見ると有のまゝに書付、もし詩歌(しか)連俳(れんはい)等の句(く)、心にうかみたらば連続(れんぞく)せずとも、其(その)趣(をもむき)を日記にしるし置へし

又山川の真景(けしき)等を画に認るも、其通り見たるまゝを写し置、追而(おつて)帰国(きこく)の上、取立(とりたて)浄書(せいしよ)すべし

詩歌もつくり絵図(ゑづ)もよく書んとすれば、道中する邪魔(しやま)になりてよく出来ぬものなり、心得あるへし

現代語訳

○道中での日記の書き方について

道中にて名所や旧跡を尋ね、風景がよい所又は珍しい物等を見聞きしたならば、

何月何日どこで何を見たとありのままに書き付け、もし漢詩・和歌、連歌・俳諧等の句が心に浮かんだら繋げて書かなくとも、その趣きを日記に記し置くべし。

また山川の実際の景色等を画にしたためるのも、その通り見たままを写し置き、おつて帰国の上、きれいに仕上げるべし。

漢詩・和歌も作り絵画もよく書くとすれば、旅の妨げになってよく出来ぬものなり。心得あるべし。

異体字を覚えよう!

旧(キュウ)  続(ゾク)  写(シャ) 絵(え)
雈(冠毛のあるとり)+臼。とりの意。久に通じて、時間がたってひさしい、ふるいの意を表す。 続は續の略体。糸がつづく、つぐの意。 写は寫の略体。ものの上において重ねてかきうつすの意。 絵は繪の通俗体。糸+會(あわせる)。五彩色の糸をあわせししゅうする意。派生して、えの意を表す。[註1]

解説

旅行中の日記の書き方について、名所や旧跡等は日時と場所をありのままに書き付けること。和歌や俳句、また景色の絵を描く時もありのままに書き付け、帰国後に仕上げること。

何故なら道中でカンペキを目指せば旅の妨げになるからとアドバイスしています。昔の旅ならではで面白いですね。

旅行の際、カメラなんかよりも、和歌や俳句の句が浮かぶような心の豊かさを持っていたいものですよね。

  

補註

註1:小学館辞典編集部 『現代漢語例解辞典 』(小学館、1996年 )参照。

史料情報

  • 表題:旅行用心集
  • 年代:文化 7(1869)/出所:八隅芦庵/宛所:須原屋伊八外/形態:竪帳
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3361
  • 当サイトは埼玉県立文書館から掲載許可を頂いてます。
  • ※無断転載を禁止します。

旅行用心集

1.旅行用心集とは/2.東海道、木曽路Ⅰ/3.東海道、木曽路Ⅱ/4.旅の前日

5.持ち物について/6.宿の確認事項/7.毒虫にはご用心/8.馬、駕籠などの手配

9.夏の食べ物/10.ソリの種類/11.雪かきの道具/12.頭巾や帽子

13.履き物その1/14.履き物その2/15.白澤の図/16.旧国名・日本地図

17.足のツボ/18.旅行用バッグ/19.旅行の持ち物/20.日記の書き方/21.天気予報

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