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旅行用心集その19

旅行の持ち物

史料

旅行の持ち物

※無断転載禁止

解読文

○道中(たうちう)所持(しよじ)すべき品(しな)の事

一 矢立(やたて)、扇子(あふき)、糸針(いとはり)、懐中鏡(くわゐちうかゝみ)、日記(につき)手帳(てちやう)一冊、櫛(くし)并に鬢付油(ひんつけあふら)

但シかみそりは、泊屋にてかり用ゆへし、又、髪ゆひもあれとも只途中又は御関所・城下等通る節、ひんのそゝけざる為なり

一 挑灯(ちやうちん)、ろうそく、火打道具、懐中付木

是はたばこを呑ぬ人も懐中すべし、はたこ屋のあんとうはきへやすきもの故、ふ慮に備ふべし 

一 麻綱(あさつな) 是は泊々にて物品をまとひおくに至極よきもの也

一 印板(いんばん)

是は家内へ其印鑑を残し置、旅先より遣す書状に引合せ又金銀の為レ替等にも其印を用ゆる為の念なり

一 此かきを所持すれば道中にて重宝なるもの也

現代語訳

○道中所持すべき品の事

一 筆記用具、扇子、糸針、小さい鏡、日記手帳・一冊、くし並びに髪を固める為の油

但しかみそりは、宿で借りて用いるべし。また髪結い職人があれども、これは旅の途中や御関所・城下等通る時に耳ぎわの髪のほつれを直す為にいる。

一 提灯(ちょうちん)、ろうそく、火打(ひうち・火を出す)道具、マッチ

これはたばこを吸わない人も携帯すべし。宿屋の行灯(あんどう・小型の照明具)は消えやすいものゆえ、不慮に備えるべし。

一 麻綱(あさつな・麻で作った綱) これは宿にて物品を巻き付けておくのにとてもよいものなり

一 印板(いんばん・板に彫って印刷すること、またその印刷物)

これは家内へ印鑑を残しておき、旅先より送る手紙と照合し、また金銀の為替等にもその印を用いる為の心配りなり

一 この鉤(かぎ・先の曲がった金属製の器具で物をひっかけるのに使う。)を所持すれば道中にて重宝できるものなり

解説

江戸時代に旅行に持って行く物が、現代と大きく違うのにびっくりされた方も多いのではないでしょうか?

筆記用具、扇子、糸針、日記帳、鏡、くし等はわかりますが、提灯(ちょうちん)とか麻で作った綱、印板、鉤(かぎ)は「!」。驚きますね(笑)。でも現代語訳を読んでいただければ、江戸時代なら必要だったかもしれないと思っていただけるものばかりだと思ひます。

そして上記の品々を前ページでご紹介した旅行用のバッグに入れれば、準備カンペキな旅人ですね。わお~!

  

史料情報

  • 表題:旅行用心集
  • 年代:文化 7(1869)/出所:八隅芦庵/宛所:須原屋伊八外/形態:竪帳
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3361
  • 当サイトは埼玉県立文書館から掲載許可を頂いてます。
  • ※無断転載を禁止します。

旅行用心集

1.旅行用心集とは/2.東海道、木曽路Ⅰ/3.東海道、木曽路Ⅱ/4.旅の前日

5.持ち物について/6.宿の確認事項/7.毒虫にはご用心/8.馬、駕籠などの手配

9.夏の食べ物/10.ソリの種類/11.雪かきの道具/12.頭巾や帽子

13.履き物その1/14.履き物その2/15.白澤の図/16.旧国名・日本地図

17.足のツボ/18.旅行用バッグ/19.旅行の持ち物/20.日記の書き方/21.天気予報

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1.かわら版とは/2.象見世物その1/3.象見世物その2

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