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荻生徂徠・政談その

旅宿暮らしの武家

知行所から御城下に住むようになった武家

知行所から御城下に住むようになった武家

譜代を増やす為には、武家を知行所に置くべし!

荻生徂徠は政談の中で、

「武家を知行所に置かなければ、御城下は物入りが多くて、譜代の者を沢山持つことは難しいはずだ。」

と主張します。武家は知行所、つまり知行として支給された土地ではない場所でどのように暮らしているのか。引き続き徂徠の政談(巻一)から見て行きましょう。

武家

武家の江戸暮らし=旅宿暮らし

「武家の御城下に集まった暮らしは、旅行中の宿屋住まいである。

諸大名の家来も、その大名の城下で暮らす江戸に対して在所と言っているけれど、これまた己の知行所ではないので旅宿である。その詳細は衣食住を始め、箸一本も買い整えばならないから旅宿である。

ゆえに武家を御城下に差置く時は、一年の知行米を売り払ってそれで物を買い調え、一年中に使いきってしまうので、精を出して上へ奉公するのは皆、御城下の町人のためである。

これにより御城下の町人が盛んになり、(交通・通信が発達したという意味で)世界が縮まり、物の値段は次第に高くなり、武家の困窮は現在に至ってもはやどうしようもなくなった。」

田舎

お陰で田舎は百姓のパラダイス?

「さてまた、田舎の取り締まりがなくなったことも甚だしく悪い。田舎の締りというのは、昔は田舎のあちこに武家がたくさんいたので百姓も我儘ができなかった。

この百年以来、(知行地を持つ旗本等の)地頭が知行所に住まわないゆえ、頭を押さえる者が無く、百姓は殊の外我儘になった。

旗本の武士が小身ならば、知行所に住まずに江戸より知行所の支配することはできない。代官などを遣わしても、小身者の家来や若党風情の者なので何の役にも立たない。旗本たちの私領も幕府が治めるようになって、いよいよ地頭を軽んずことに今はなった。」

…というわけで武家が御城下に住むようになって、様々な問題が浮き彫りになってきました。それでは武家を田舎に戻ったらどうなるか、次項で見て行きましょう。

  

政談の現代語訳について

当サイトの政談の現代語訳は、吉川 幸次郎, 丸山 真男, 西田 太一郎, 辻 達也 (著)『日本思想大系〈36〉荻生徂徠 (1973年) 』(岩波書店、1973年)をもとに当サイトの運営者が現代語訳しました。

その際、荻生 徂徠 (著), 尾藤 正英 (翻訳)『荻生徂徠「政談」 (講談社学術文庫) 』(講談社、2013年)も参考にさせていただきました。

荻生徂徠・政談

1.荻生徂徠とは/2.政談とは/3.譜代と出替り奉公人/4.旅宿暮らしの武家

5.武家は田舎に居住すべし!/6.江戸の医者の特徴/7.城下町居住の理由

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