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錦絵とは
江戸の土産といえば、錦絵か浅草海苔(のり)というのが通り相場。双方ともかさばらずに軽く持ち運びに便利で、且また江戸の匂いを嗅ぐことができました。
錦絵は、錦の織物を思わせたことに由ります。浮世絵版画ははじめ、墨一色の墨摺絵(すみずりえ)から、これに色を塗った丹絵(たんえ)・紅絵(べにえ)・漆絵(うるしえ)が登場。さらに紅・黄・草色を主に用いた初期の多色摺版画の紅摺絵(べにすりえ)が開発されました。
明和二年(1756)には江戸で吾妻錦絵(江戸絵)が誕生。多くの色や複雑な色調による表現が可能となりました。錦絵の創始者は鈴木晴信とされます。錦絵の題材は主に、花魁や相撲など大衆受けを狙った通俗的な作品。検閲制度により、時事的なものや当時の武士に関するものは対象外でした。
参考文献
- 花咲一男(監修)「錦絵」『大江戸ものしり図鑑』(主婦と生活社、2000年)338-339頁
- 「浮世絵版画の発達」『図表でみる江戸・東京の世界』(東京都江戸東京博物館、1998年)48-49頁