くずし字で楽しむ江戸時代

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錦絵その3

子ども火消しの浮世絵_子供あにひ纏固図小

史料

全体図

子供あにひ纏固図小_全体図

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拡大図

子供あにひ纏固図小その2

※無断転載禁止

解説

概要

史料は子供たちの大勢を、町火(まちび)消しに見立て描かれています。

町火消しの火事装束は、木綿の股引をはき、頭巾をかぶり、羽織は裏返して着られるようになっています。また史料のように、組の目印である纏(まとい)、類焼を防ぐためにの道具や梯子をもって仕事に挑みました。

浮世絵は火事に限らず、鯰絵の持丸たからの出船はしか童子退治図和漢獣物大合戦之図などにも見られるように、子供や動物を何かに見立てて描くというは定番中の定番。むしろ得意とするところ、なのではないかと思います。

江戸時代子供は村の子。現代よりも大人社会子供の世界も近かったはずで、当然、絵の題材にもなり得たでしょう。

史料の文字

拡大図のくずし字は「東都名所 日本橋従高輪之風景 子供(こども)あにひ纏(まとい)固図小(こづこ)」。この文字列の解読が意外と難しいです。

東都は江戸の意。所は異体字(旧字)。従は「より」と読みます。あにひは、変体仮名で阿耳比をくずした字体。現行の平仮名は安仁比。あにいは勇み肌の若者の意。

固、図ともに両側に点を打つ(くにがまえ)の典型的くずし字。また図は異体字・。固(かため)は警護の意。

以上、直訳すると"江戸名所 日本橋より高輪の風景 子供が勇む(火消し)纏、警護のかわいい図" かな?

参考文献

池上良太 『図解 日本の装束』(新紀元社、2008年)「江戸時代の火消しの服装」104-105頁

史料情報

  • 表題:東都名所日本橋従高輪之風景 子供あにひ纏固図小
  • 年代:―(江戸時代)/国綱画、蔦吉板/形態:三枚続
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家文書6367-10
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錦絵

北条時頼会盟図徳川家茂上洛図/子供火消し

日本と中国の動物百器夜行

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