序文
あるひと曰く「およそ草写(そうしゃ:くずし字)は読み難(がた)く、真書(しんしょ:楷書)は読み易(やす)し」と。先生曰く「然らず。能く真(しん)を読む者はまた能く草(そう)を読む」と。衆(西笑承兌・玄圃霊三)、ますます悦ばず。一座(周りの人)、皆、驚く。林羅山『一 惺窩先生行状_羅山林先生文集』
差上申一札之事
本サイト主旨
古文書(こもんじょ)を所蔵する公共施設に、文書館(もんじょかん)があります。そこで見つけたゴミかと思う文書(失礼!)も、じっくり解読してみると意外に面白かったりします。
当サイトは、そんな私の個人的な古文書学習ノート。でしたが、年々カタカナが人口に膾炙(かいしゃ)して、このままだと戦後の常用漢字ですら生き残れないんじゃないかと心配になってきました。
死者の声を聴くには読めなければいけません。エジソンが蓄音機を発明した後の戦争で亡くなった方の叫びにおいても、事情はさほど変わりません。
すなわち当サイトは書体についての――お察しのとおり、くずし字の解読をしてみよう、という試みです。
世の中、孤独になってみないと聞こえてこない声、というものの方が多いと思います。一方でコミュニケーションの得意不得意を「性格」に求める方は、まず死者と向き合い、そのあと現代人、という手順を踏んではいかがでしょうか。却って嫌味なようですが、遠回りの分だけ、気軽な人付き合いができそうです。
サイト構成
さて、当サイトのカテゴリは基礎講座・解読講座・浮世絵・資料集と大きく四つに別れていますが、特に読む順番とかはないです。好きなところからお読みください。
対象者は、全くの初学者を中心にどなたさまでも問題ないよう、気持ち的には作っています。
難しいと思ったページは、意欲があれば解読に挑戦してもいいですし、すっ飛ばして後で振り返るのもいいと思います。史料直下には基本的に解読文を、意味が通じないものは現代語訳も併せて掲載しています。
個人的に一番気になっているのは、昔の文書の解説なのに縦書きではなく、横書きで解説しているところです。読みづらいと思いますし、アホみたいですが、HPの仕様上ここは妥協するしかありません。
取り扱う文書
古文書は一般に、地域色の強いローカルな分野です。当サイトが掲載している古文書は、私が埼玉に住んでいることもあって、埼玉県立文書館及び東京都小平市立図書館から許可をいただいて掲載しています。
取り扱う文書の時代は、江戸時代が中心です。理由についてはこちら、文字の書き方の歴史をご参照ください。古文書の書風は、同じ時代のものにあっては、筆法をはじめ共通の書き振りがあります。
よって当サイトで取扱う武蔵国(東京・埼玉)の近世文書と、他の地域に遺る近世文書において、書風で問題になることはまずないと思います。一方で、地方史の魅力として埼玉県民でもほとんど知らない吉田市右衛門や鷹場文書などもご紹介もしています。
ついで申し上げると、現存の古文書全体から見れば、破損している文書の方が圧倒的に多いです。当サイトは比較的状態のよい文書を取り上げていますが、少々不鮮明な文書に遭遇しても愛してやってください。
転載禁止
テキストおよび、史料含む画像の転載を媒体問わず固く禁じます。また当サイト掲載史料について、いかなる場合もデータのご提供は出来かねますので予めご了承ください。
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