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古文書様式2

詔書・勅書、太政官符など 奈良朝にできた様式

は生じ夏は殺す、刑名は天地と俱(とも)に興り、陰には惨(いた)み陽には舒(よろこ)ぶ、法令風霜と共に並び用いられる、之(これ)を犯せば必ず傷(やぶ)る、蠟柱に爛蛾の危き有り、之に触るるをば漏らさず、蛛糸は黏蟲(ねんちゅう)の禍を設く。「令義解」序文_吉川幸次郎『漢文の話

公式様文書

公式様(くしきよう)文書とは、大宝令及び養老令[1]のなかで、公文書の様式その他を規定した公式令(くしきりょう)に見える文書の様式。文体の上からみると、漢文で書いた中国式です。律令制度の盛時である、奈良朝及び平安朝初期によく行われました。

天皇・皇族

詔書(しょうしょ)

天皇から下される重大な文書。平安以後、漢文体が詔書、和文体は宣命(せんみょう)と呼ばれる。

  • (漢文体):(書出)詔

勅書(ちょくしょ)

通常の小事(しょうじ:あまり重要でない事柄)を伝える天皇文書。実際的なもの。

  • 例:(書出)勅

令旨(りょうじ)

一般皇族の文書。御教書の式。明治以後も。皇太子ならび三宮(太皇太后(たいこうたいごう)・皇太后・皇后))の文書。→ 現存しない。

  • 例:令旨如此(文末)

太政官

符(ふ)は、直接上下関係にある役所の間で、上の役所から下の役所に下す政治的文書。

太政官符

太政官と八省_律令官制図
太政官と八省_律令官制図[2]

太政官(だいじょうかん)は、国政を総括する最高機関。太政官符(かんぷ)は、太政官の被官である中央地方の諸官庁に下しました。略称・官符。

諸国に下す場合は天皇御璽(ぎょじ:天皇の印。内印(ないいん)、在京の諸司(役人)に下す場合は太政官の印(外印:げいん)を捺(お)しました。

  • 例:(書出)太政官符(ス)安芸国司(太政官から安芸国司に符を下す)

太政官牒(かんちょう)

太政官から被管でない社寺などに下す。

  • 例:(書出)太政官牒金剛峯寺(こんごうぶじ)

下意上達

解(げ)

被官から所管に上る、下意上達文書。符の反対。宛名は書きません。また差出者は本文中に自然にわかるように記されていて、とくに形式的には書かない場合もありますが、冒頭に「某謹解……」とする場合が多いです。また日付の下に書くこともあります。

  • 例:柘植郷長解

補註:大宝令と養老令

刑部(おさかべ)親王・藤原不比等らの編纂により、大宝元年(701)我が国においてはじめて、律(りつ)・令(りょう)ともに備わった法典・大宝律令が完成した。

養老二年(718)には、藤原不比等らによって養老律令(ようろう‐りつりょう)がつくられた。律は大宝律・養老律ともほとんど伝わっていない。一方、令では養老令は『令義解(りょうのぎげ)』『令集解(りょうのしゅうげ)』によってほぼ全文を知ることができ、大宝令は『令義解』により一部推定できる。

参考文献

  • 伊木壽一『日本古文書学』(雄山閣出版、第三版1990年)「第14章 古文書の種類 第一節 公文書・準公文書 第一項 奈良朝以前」274-288頁
  • 佐藤進一『古文書学入門』(法政大学出版局、1997年)「第三章 古文書の様式 第一節 公式様文書」53-54,58-59,75-79頁
  • 佐藤信・五味文彦・高埜利彦・鳥海靖『詳説日本史研究』(山川出版社、2017年)「第2章 律令国家の形成 2律令国家への道」66、68頁

古文書の様式

1.概要 2.詔書・勅書、太政官符など

3.宣旨、官宣旨 4.政所と家司

5.御教書 6.鎌倉幕府 御教書 7.連署 8.領家

9.政所下文 10.直状 11.下知状 12.奉書

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