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はしか絵6

伊勢の神のはしか厄払い

史料

麻疹厄はらひ・全亭おろか戯述

※無断転載禁止

解読文(原文)

麻疹(はしか)厄(やく)はらひ 全亭おろか戯述

アヽら うるさいな/\。当時(たうじ)はしかの流行(りうかう)を。神(かみ)のちからではらひませう。一夜(いちや)あくれば、顔(かほ)にぽつちりできぼしや。よなみはよろづ、よしあしの。せけん、いちめん床(とこ)のうへ。おもきまくらの、はつゆめに。いちどにねたら、みんなふし。

旦那(だんな)きたくをながむれば。あかき頭巾(づきん)のつるがしら。見(み)まひにくれた、水(みず)あめの。□(かめ)は、まんねん御寿命(ごじゆめう)を。いはふてかるやき。ゆば。やきふ。

医者(いしや)の匕(さぢ)さき口(くち)さきも。かるく見たてるそのなかへ。例(れい)のはしかのしり(うま)に。のりこむ、ねつや厄病(やくびやう)が。

さまたげなさんとするところを。伊勢(いせ)の神風(かみかぜ)ふくは内(うち)。お庭(には)外(そと)へとつまみだし。ちくらが沖(おき)へさらり/\

ながき日(ひ)の とこのねむりの みな月(つき)に このごろはしか 世(よ)なみよきかな

食してあしきもの

一 冷物(ひへもの)、 一 生物(なまもの)、一 五辛(ごしん)ねぎ・にら・くさきもの・ほしきもの、一 菓物(くだもの)もゝ・なし・びわ・ぶどうのるい、一 酢(す)(さけ)、一 はちみつ、一 砂糖(さとう)、一 あぶらげ、一 めんるい、一 いりたるもの、一 木の子、竹(たけ)の子(こ)るい、一 もち米、しんこもちのるい、一 ちさ、一 せり、一 しんぎく、一 わらび、一 きうり、一 なす、一 とうなす、一 魚(うをとり)、一 (かい)るい、一 玉子(たまご)、一 塩(しを)からきもの、一 塩魚(しをうを)、一 ほうれん草、一青(あを)くさきもの、一 こんにやく、ならづけのるい、ぬかみそづけのるい、すべて多く食ふはよろしからす

解説

史料のはしか絵のテキスト部分は、江戸時代戯文というジャンルに属します。「一夜明くれば、顔にぽっちり出来や」などと気の利いた言い回しで、はしかの概要を伝えています。絵は、真ん中の(麦殿ではなく)伊勢の神様が、擬人化されたはしかを患った盗人二人を退治している様子を描いてます。

史料情報

  • 表題:麻疹厄はらひ・全亭おろか戯述(はしか絵)
  • 年代:文久2. 7(1862) /一雄斎艶政 画、彫子兼・田鍵庄
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家文書6369-6
  • 当サイトは埼玉県立文書館から掲載許可を頂いてます。
  • ※無断転載を禁止します。

はしか絵

1.概要 2.良薬と奇薬 3.まじない 4.はしかの歴史

5.はしか童子 6.伊勢の神 7.美男と赤菊 8.花魁と禿

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