解読文(原文)
はしか童子(どうし)退治図(たいぢのづ)
第一に忌(いむ)べき事:一 男女交合(なんによこう/\)、一 魚鳥(うほとり)一切、一 酒(さけ)酢(す)、一油気(あぶらけ)一切、一 しん漬(づけ)類
よろしきもの:一 冬瓜(とうぐわ)一 ゆり、一 かんひやう、一 さつまいも、一 黒豆(くろまめ)、一 大麦(おうむぎ)、一 ぜんまい/此外能毒(のうとく)の書(しよ)多(たふ)く出しへて略也
解説
描かれた童子ははしかを患っており、はしか除けに吉は赤色により、赤い袴を身に着けています。周りのはしか除けの擬人化五名も治癒に協力。左上は麦殿大明神?
史料は他のはしか絵、良薬と奇薬など比べ、文字数が極端に少ないのが特徴。子ども向けなのかなとも考えましたが、忌べき事の冒頭が男女交合なので、そんなこともないかと。
それはさておき、私は当史料のいう鳥類をもっぱら鶏と思い込んでいたのですが、鷹場における雉の史料を解読する過程で、武士は食膳に雉をよく用いた[註]とのことです。
補註
金子浩昌・佐々木清光・小西正泰・千葉徳爾『日本史のなかの動物事典』(東京堂出版、1992年)
史料情報
- 表題:はしか童子退治図(はしか絵)
- 年代:文久2. 6か(1862) /芳藤 画、越平 板
- 埼玉県立文書館寄託 小室家文書6369-7
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