解読文
原文
此白澤(このはくたく)の図(づ)を懐中(くわいちう)すれば、善事(ぜんじ)をすゝめて、悪事(あくじ)をしれぞけ、山海(さんかい)の災難(さいなん)、病患(ひやうく)をまぬかれ、開運(かいうん)昇進(しやうしん)の祥瑞(せうすい)あること、古今(こゝん)云伝(いひつた)ふる所也、因而(よつて)旅中(りよちう)は、最(もつとも)尊信(そんしん)あるべし
現代語訳
この白沢(はくたく)の図を懐の中に入れておけば、よいことを進行させ、悪事を退け、山海の災難、病気を免れ、開運・昇進、縁起のよい前兆があること、古今の云い伝わる所なり。よって旅行中は最も尊んで信仰すること。
解説
白沢(はくたく)は、中国の想像上の動物。牛のような体で八つの目があり、人語を解すると言われてます。また、有徳の王の世に現れるとされていました。
現代人で白沢を崇(あが)めている人はほとんどいないと思いますが、江戸時代、白澤は史料の言うように、病を取り払ったり開運を呼び込んだりと、縁起のいい動物としてお札などにも描かれていました。
史料情報
- 表題:旅行用心集/文化7(1810)
- 八隅芦庵 著、彫工:佐脇庄兵衛・同 伊三郎、出版元:須原屋茂兵衛・須原屋伊八
- 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3361
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旅行用心集
1.概要 2.東海道 木曽路・3.そのⅡ 4.旅の前日 5.持ち物
6.チェックイン・7.アウト 8.食べ物 9.毒虫 10.ソリ
11.雪かき道具 12.頭巾、帽子 13.履物・14.かんじき、下駄