史料

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解読文
駕籠橇(かごそり)
駕籠雪(かこそり)は、下地を籠に組立、上を畳表(たゝみおもて)にて包みたるもの也
其籠を常の雪車へ結附るなり、中に刀かけもあり、ふとん其外手道具等入ること常の駕籠の如し、常々医者多く是を用ゆ
雪車(そり)
雪車(そり)は、惣而荷物(にもつ)を積(つみ)、綱(つな)を肩(かた)へかけて一人にて引也
米俵五六俵ヨリ十七八俵迄引なり、山坂は荷杖(につえ)にて楫(かぢ)をとり、自(みつ)から乗なから下ること矢をつくか如し、牛馬等の便利に十倍せり、誠に山国の船なり
○ヲノヲレ○
イタヤなといふ木にてつくるなり
箱橇(はこそり)
此箱そりは、小児のたわむれに用ゆる也、箱もあり、北国草籠もあり
現代語訳
駕籠橇(かごそり)
駕籠雪(かごそり)は、土台を籠に組立て、上を畳の表で包んだものである。その籠を普通の雪車へ結びつける。
中に刀掛けもあり、ふとん、その外、手まわりの小道具等が入ることは普通の駕籠のようだ。常々医者が多くこれを用いる。
雪車(そり)
雪車は、総じて荷物を積み、綱を肩へ掛けて一人で引く。米俵五、六俵から十七、八俵迄引く。
山坂は荷杖(につえ)で楫(かじ)を取り、自ら乗りながら下れば放たれた矢のようだ。牛馬等の便利さより十倍。誠に山国の船である。
○ヲノヲレ○
雪車(そり)は、斧折れ(カバノキ科の落葉高木)や板屋楓(カエデ科の落葉高木)などの木で作る。
箱橇(はこそり)
この箱そりは、小児のたわむれに用いる。木の箱ではなく、北国では草の籠もある。
解説
旅行用心集では、奥州・越後の寒い国についての文脈の中で、ソリが紹介されています。史料から、お医者さんが多く用いる駕籠橇、荷物を運ぶ雪車、小さい子が遊ぶ箱橇の特徴や機能が読み取れます。
ほっこりと言うべきかアバンギャルドと言うべきか、どちらにせよ乗ってみたい乗り物ばかりですね。
史料情報
- 表題:旅行用心集
- 年代:文化 7(1869)/出所:八隅芦庵/宛所:須原屋伊八外/形態:竪帳
- 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3361
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旅行用心集
1.旅行用心集とは/2.東海道、木曽路Ⅰ/3.東海道、木曽路Ⅱ/4.旅の前日/5.持ち物について
6.宿の確認事項/7.毒虫にはご用心/8.馬、駕籠などの手配/9.夏の食べ物/10.ソリの種類