解読文
カウスキ
ブナといふ木にて作、外ニ長柄あり、是は八九尺ヨあり
此かう鋤(すき)は、雪を屋根よりおろし、又はおろしたる所の雪を切石(きりいし)の如くこの筐をもつてきり、町の中ほとへ向ふの見へぬ計りにつみ上るなり
又大雪の日には、道を掃ふにもし途中(とちう)杖のかわりにするなり、又小児外にて戯(たわむ)れ遊ふにも、雪有うちは是を突(つき)ありく也
雪踏(ゆきふみ)
藁(わら)にて作(つく)り、ふん込(ごみ)の如く両足へはき、雪のふる度々家の前并に道路の雪をふみかため、往来の通路をつくる器也、又米の空(あき)俵を用る所もあり
同上
是は、わらの雪踏にて、ふみならしたる上を又ふみかたむる具なり、わり槙にて作るなり、かならず家毎にあるにもあらず
解説
用語
MEMO
『旅行用心集』では、奥州・越後の寒い国についての文脈の中でソリに続き、雪かき道具を紹介。シンプルながらも雪国の生活の奥行さを感じる道具です。
著者曰くかんじきの頁において「是等旅具にあらざれとも雪国のみの物故出也」。かくして本書は旅行マニュアルを超えて文化人類学の様相です。
史料情報
- 表題:旅行用心集/文化7(1810)
- 八隅芦庵 著、彫工:佐脇庄兵衛・同 伊三郎、出版元:須原屋茂兵衛・須原屋伊八
- 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3361
- 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
- ※無断転載を禁止します。
旅行用心集
1.概要 2.東海道 木曽路・3.そのⅡ 4.旅の前日 5.持ち物
6.チェックイン・7.アウト 8.食べ物 9.毒虫 10.ソリ
11.雪かき道具 12.頭巾、帽子 13.履物・14.かんじき、下駄