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旅行用心集その7

毒虫にはご用心

史料

毒虫にはご用心_旅行用心集

※無断転載禁止

解読文(下の部分)

右側

唐斑猫(からはんみやう)色微黄、和斑猫(わのはんみやう)、色るり也 

蜥蝪(せきてき)和名とかけ、石龍子、山龍子、同物

左側

烏蛇(うしや)、からすへひ

蝮(ふく)はみ、又、反鼻蛇(はんひしや)、まむし、色黒黄なり、種類多し、大毒あり

現代語訳(下の部分)

右側

唐斑猫(からはんみょう・ハンミョウ科の昆虫)の色は微黄、日本の斑猫(わのはんみやう)の色は瑠璃(るり)。 

蜥蝪(せきてき)の和名はトカゲ。石龍子、山龍子も同物。

左側

烏蛇(うしゃ)はカラスヘビ。

蝮(ふく)はみ、又は反鼻蛇(はんびしゃ)は、マムシのことで、色は黒黄、種類が多い。大毒あり。

解読文(上の部分)

毒虫にはご用心上部_旅行用心集

※無断転載禁止

夏(なつ)の原野(のはら)に生る毒草(どくそう)、毒虫(どくむし)数(かず)多ければ、挙(あけ)て尽(つく)すへからず

就中、蝮(まむし)斑猫(はんぬう)の大毒なることは、皆人の知ところ也

其外、諸虫の中、無毒虫(どくなきむし)にても、折に触(ふれ)て、毒あるものにあふ時は、蛇蠍(しやかつ)にもをとらぬものありよつて、蚋(ぶと)、蚊(か)、虻(あぶ)、蜂(はち)、蟻(あり)、蛄蟖(けむし)、蜘蛛(くも)、蛭(ひる)の類(る)ひに至る迄、用心すへきことなり

温熱(うんねつ)の地は、暑湿(しよしつ)別而甚しく、毒草異虫も多き故、旅人つかれて山野(さんや)に休むとも、是等の心得あるへきことなり

毒虫(とくむし)にさゝれたる妙薬等は末(すへ)のくすりの所にあり

解読文(上の部分)

夏の原野に生る毒草、毒虫の数は多いので、挙げ尽くすことができない。

とりわけ、蝮(まむし)や斑猫(はんみょう・ハンミョウ科の昆虫)が大毒であることは、全ての人の知るところである。

その外、諸虫の中、毒が無くても折あるごとに毒を発する虫に合った時は、蛇とサソリにもを劣らぬものもある。蚋(ぶゆ)、蚊、虻(あぶ)、蜂、蟻、蛄蟖(けむし)、蜘蛛、蛭(ひる)の類に至るまで用心すべきことである。

温かい地は、暑くて湿気が含んでいることとりわけ甚だしく、毒草や異虫も多きので、旅人が疲れて山野に休む時も、これらを心得べきである。

毒虫に刺された場合の妙薬等はこの本の後ろの方に記す。

用語解説

就中(なかんずく):その中でも。とりわけ

斑猫(はんみょう):ハンミョウ科の昆虫。体長2センチくらい。体は光沢があり、緑・紫・赤・青などの斑紋をもつ。

蛇蠍(だかつ):へびとさそり。

烏蛇(からすへび):シマヘビの黒化型で、うろこに黒の色素細胞が異常に多く、全身黒色を呈するもの。

解説

史料は「旅先では、こんな毒虫に注意してね。」と様々な毒虫を挙げ、プチ昆虫図鑑のようになってます。虫の他にも、トカゲやヘビなどは絵入りで有り難いような、気持ち悪いようなですね。

  

史料情報

  • 表題:旅行用心集
  • 年代:文化 7(1869)/出所:八隅芦庵/宛所:須原屋伊八外/形態:竪帳
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3361
  • 当サイトは埼玉県立文書館から掲載許可を頂いてます。
  • ※無断転載を禁止します。

旅行用心集

1.旅行用心集とは/2.東海道、木曽路Ⅰ/3.東海道、木曽路Ⅱ/4.旅の前日

5.持ち物について/6.宿の確認事項/7.毒虫にはご用心/8.馬、駕籠などの手配

9.夏の食べ物/10.ソリの種類/11.雪かきの道具/12.頭巾や帽子

13.履き物その1/14.履き物その2/15.白澤の図/16.旧国名・日本地図

17.足のツボ/18.旅行用バッグ/19.旅行の持ち物/20.日記の書き方/21.天気予報

旅行用心集

1.旅行用心集とは/2.東海道、木曽路Ⅰ/3.東海道、木曽路Ⅱ/4.旅の前日/5.持ち物について

6.宿の確認事項/7.毒虫にはご用心/8.馬、駕籠などの手配/9.夏の食べ物/10.ソリの種類

11.雪かきの道具/12.頭巾や帽子/13.履き物その1/14.履き物その2/15.白澤の図/16.旧国名・日本地図

17.足のツボ/18.旅行用バッグ/19.旅行の持ち物/20.日記の書き方/21.天気予報

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