解読文および解説
第十九図
○花粉之顕微図、馬兒抵涅杜(マルチネツト)之自リ抄写ス
- 麗春花(ヒナゲシ)※雛罌粟、玉蕊花(トケイソウ)※時計草、紫茉莉(オシロイ)類※白粉花、桔梗類、向日葵(ヒマワリ)、野西瓜苗類、乙切草※オトギリソウ(弟切草)、蓮荊花(サクラサウ)類※桜草、蓖麻(トウゴマ)※唐胡麻/※は当サイト注釈
○檜果/落葉松塔(フジマツノミ)
唐松(からまつ)。マツ科の落葉高木。日本特産。雌雄同株。春に開花。雌花は紫色、花後、卵形の毬果を結ぶ。
第二十図
○赤小(アヅキ)豆ノ甲折
甲拆(こうたく)は草木が芽をだすこと。(甲は種子がまだ果皮をつけたまま地上にでた形)
- 種子膜、種子襞/葉、種子襞、根
○壺慮(ヒャクタン)甲拆
白檀。インドネシア原産のビャクダン科の半寄生常緑高木。発芽時は独立して生活するが、成長すると直径数ミリの吸盤で他の植物の根から養分を得る。
- 葉、殻、種子襞
○蓮子
れんし。蓮の実。蓮はスイレン科の多年生水草。インドから中国、また古くから日本に伝わる。果実の形状が蜂の巣に似ていることから、「はす」に略された。果実は倒円錐形で花床(かしょう)が発達したもの。秋の末に地下茎の先端の肥大したものが蓮根。
- 仁、薏(ヨク,ハスの実の中身)、殻/放里翁(シヨリオン)/亜牟尼翁(アムニオン)
○槭実(モミジノミ)
モミジの別名「カエデ」は槭樹、楓とも。名は葉の形がカエルの手に似ていることによる。北半球の温帯に分布。果実は二室からなり、おのおの長い翅(はね)があり、落下するときに種子が舞って飛散する。
- 子翅、冠毛、冠/翅、心蕊、種子、翅
参考文献
居初庫太『花の歳時記 カラー版』(淡交社、1986)
史料情報
- 表題:植学啓原 3巻合綴
- 年代:天保5(1834)/宇田川榕庵著、菩薩樓蔵版
- 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3954
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植学啓原
1.宇田川榕庵 著 2.根や球根 3.根の断面、シダ 4.コケやキノコ