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植学啓原9

マメ、キク科の花の構造

江戸時代の植物図鑑を通して、マメ科(袴蔓)やキク科(朮、蒲公英、春菊)などの構造を紐解きます。

史料

マメ科(袴蔓、蝶形花、忍冬)菊科(朮、蒲公英、春菊)の構造_植学啓原

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解読文および解説

第十五図:マメ科の花

○鱗甲花(ハカマカズラ/バウヒニア)

袴蔓、Bauhinia。マメ科の常緑蔓(つる)性木本。和歌山、高知、九州、沖縄に分布。巻きひげあり、花は小型緑色で七月に咲く。

  • 蜜槽(みつそう)、心蕊(しべ)、葯/髭蕊、萼

○蛾形花(フリンテルアルーム)、林氏第十七綱諸花

蝶形花。ソラマメ・エンドウなどのマメ科植物に見られる特殊な花冠。上型一枚は大型で旗弁(きべん)、左右二枚は翼弁、下方二枚は一部がくっついて竜骨弁という。

  • 萼、旗弁、龍骨、萼、両翼、旗弁/心蕊

○忍冬花(ロニセラ)

忍冬(すいかずら)、lonicera。金銀花。常緑蔓性木本。五~六月に葉腋(ようえき、葉の付け根)に二個ずつ花をつける。花の色は白くから黄色に変わり、下半分は細い筒形、上半部やや二唇形に開き、上唇の先はさらに浅く四片に割れる。

  • 心蕊、鬚蕊、筒子/柱頭、心蕊、鬚蕊、筒子/蕊根之一体、鬚蕊之一体

第十六図:キク科の花

朮(オケラ)はキク科の多年草。東アジアの温帯に分布。秋に白または紅色の頭状花を開く。周囲にはとげ状の総苞あり。

蒲公英(タンポポ)はキク科の多年草。世界各地に雑草として生えている。タンポポの由来は田畑など田菜に生える「田菜ほほ」、綿をくるんで円くした「たんぽ」など。春に黄色または白色の花をつける。

茼蒿花は春菊(しゅんぎく)のこと。キク科の一年~二年生の野菜。中国から日本へ導入される。五月頃に菊に似た、中心部は黄色で周辺は黄色あるいは白色の頭状花をつける。

  • 伊(い)完筒聚花:朮花(オケラ/アトラクネリス,Atractylodes)/華葉(花葉)、梢葉、鱗萼/冠毛、種子、髭蕊筒巻而心蕊ヲ囲匝(髭蕊(しべ)筒巻にして心蕊をまわりめぐる)/心蕊
  • 呂(ろ)欠筒聚花:蒲公英(タンポ/レオントドン)/完筒子花、喇叭蕊、欠筒子花(缺は旧字)、子状
  • 波(は)雑蒲聚花:茼蒿花(シユンキク/セリサンテニユム)/完筒心為ス、完筒周ヲ囲ム

参考文献

居初庫太『花の歳時記 カラー版』(淡交社、1986)

史料情報

  • 表題:植学啓原 3巻合綴
  • 年代:天保5(1834)/宇田川榕庵著、菩薩樓蔵版
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3954
  • 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
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植学啓原

1.宇田川榕庵 著 2.根や球根 3.根の断面、シダ 4.コケやキノコ

5.ツクバネ、水仙 6.御前橘、露草 7.外国の花 8.蘭や菫

9.マメ、キク科 10.リンネ二四綱 11.花粉

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