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植学啓原7

外国の花 ハイビスカス、アカシアなど

江戸時代の植物図鑑を通して、外国の花(ハイビスカス、ゴジカ、ミモザ)や山椒、葉蘭の構造を紐解きます。

史料

ハイビスカス、ゴジカ、ミモザ、山椒、葉蘭の構造_植学啓原

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解読文および解説

第十一図

○午時花(ペンタペテス)

ゴジカ、Pentapetes。熱帯アジア原産の多年草。名は午の刻(午前11時~午後1時の2時間)に花が開くところから。

  • 心蕊(しべ)、卵巣、長鬚五条葯無(長鬚五すじは葯無し)、短鬚十五条葯有
  • 鬚蕊根一体為(鬚蕊根は一体と為す)は体の異体字(旧字)
  • 鬚蕊長短、心蕊、萼、花梗

○金合歓(インガ)

キンゴウカン。アカシア、ミモザとも。マメ科の一属。オーストラリアおよびアフリカを中心に数百種知られる。日本では関東以西の暖地で初夏に花木として栽培される。無数の黄色の小花を球状につける。

  • 一小花、子状、無数小黄花球為(無数の小黄花は球を為す)
  • 顕微鏡以テ一小花ヲ観ル、葯、萼、鬚

○朱槿(ブツウケ/ヒビスキュス)

ハイビスカス。漢名「扶桑」に「華」をつけて日本名で扶桑華(ブッソウゲ)。科常緑小低木。中国南部原産。日本でも夏季は戸外でよく育つ。花弁五枚、普通赤色で、白色、黄色などもあり。

  • 柱頭(ちゅうとう)、鬚蕊、花頭、萼、林氏第十六綱諸花大概此如(かくのごとし)

第十二図

山椒(ファガラ)、林氏第二十二雌雄花株異ノ開

さんしょう。古称は薑(はじかみ)。古来より胡椒など果実の辛いものに「椒」の名あり。ミカン科の落葉低木。東アジア(日本、朝鮮半島、中国)に自生。葉は五~九枚の小葉をもつ羽状複葉で、独特の芳香がある。

春、葉腋(ようえき,葉の付け根)から短い複総状花序を出し、多数の黄緑色の小鼻をつける。果実を干したものを薬用、香辛料とする。

  • 雄花、羊歯(シダ)葉、顕微鏡ヲ以テ両性花ヲ観ル、雌花

一葉(ハラン)、雄雌花於地中ニ開ク

葉蘭。琉球で一葉という。葉の特に大きいのような植物。中国原産のユリ科の常緑多年草。日本でも古くから観賞用として栽培。長い地下茎をはわせ、大きな葉を多数つける。春、筒状釣鐘形で紫褐色を帯びた、やや肉質の花を地面に接してつける。種子は古来から肺病、肋膜、一般強壮剤など薬用とされる。

  • 弁剖(さい)テ鬚蕊ヲ観ル。辨は弁の旧字
  • 葉柄□剪ル、苞(ほう,花の基部につく葉)、芽
  • 弁去テ而心蕊ヲ観ル(花弁を去って心蕊を観る)、柱頭上面、柱頭下面、柱頭・柱・苞

参考文献

居初庫太『花の歳時記 カラー版』(淡交社、1986)

史料情報

  • 表題:植学啓原 3巻合綴
  • 年代:天保5(1834)/宇田川榕庵著、菩薩樓蔵版
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3954
  • 当サイトは同館から許可を得て掲載しています。
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植学啓原

1.宇田川榕庵 著 2.根や球根 3.根の断面、シダ 4.コケやキノコ

5.ツクバネ、水仙 6.御前橘、露草 7.外国の花 8.蘭や菫

9.マメ、キク科 10.リンネ二四綱 11.花粉

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