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旅行用心集8

江戸時代 夏に気をつける食べ物

江戸時代の人がどんなものを食し、気を付けていたか、『旅行用心集』から紐解きます。

史料

夏に気をつける食べ物_旅行用心集

※無断転載禁止

解読文

一 旅行(りかう)は、兎角(とかく)暑寒(しよかん)をよく凌(しのく)べきなり、就中(なかんづく)夏(なつ)を心付へし、先(それ)暑中(しよちう)は、人々の脾胃(ひゐ)ゆるみて、食物(しよくもつ)を消化(せうくわ)しがたし

因而(よつて)しらぬ魚(うを)、鳥(とり)、貝類(かいるい)、筍(たけのこ)、菌(きのこ)、瓜(うり)、西瓜(すいくわ)、餅(もち)、強飯(こはめし)の類(るい)多(おほ)く喰(くら)ふべからず

夏(なつ)は食傷(しよくしやう)より、寉乱(くわくらん)に発(はつ)し、難義(なんぎ)に及ふことあり、春(はる)秋(あき)冬(ふゆ)は夏(なつ)に準(しゆん)じ知べし

清輔 ゆくまに 花の梢となりにけり よそに見へつる 峯のしら雲

現代語訳

旅行中は兎角、暑さ寒さをよくしのぐこと。とりわけは注意すること。夏の暑い時期は、人々の胃腸がゆるんで食物を消化しがたい。

よって知らないや貝類、筍、きのこ、スイカ、、赤飯のたぐいは多く食べてはいけない。夏は食あたりにより、吐き気や下痢などを発し難儀に及ぶことがある。春秋冬は、夏に準じて対処すること。

清輔[]遠くから見ていた時は峯の白雲が残っていたのに、旅の日数を重ねるに連れて、一面ざかりとなってしまった

解説

くずし字

旅行 就中
旅行 就中
りょこう なかんづく
「旅」が難読。 「とりわけ」の意。
鳥 夏 冬
動物の名前参照。 「度」のくずし字に似ている。 「夏」とセットで覚えておくとよいです。

用語

  • 脾胃(ひい):脾臓(ひぞう)と胃腸。消化器系の内臓。はら。
  • 強飯(こわめし):もちごめ蒸した飯。おこわ。
  • 食傷(しょくしょう):食あたりを起こすこと。
  • 寉乱(かくらん):夏に起きやすい、激しい吐き気・下痢などを伴う急性の病気

MEMO

史料は『旅行用心集』道中用心六十一ヶ条の第七条。旅行中、それが夏だった場合、食べてはいけないものを細かく挙げています。魚や鳥などは、はしかを患った時にも忌むべきものとして挙げられています。

補註

藤原清輔(ふじわらのきよすけ)[1104~1177]平安後期の歌人・歌学者。顕輔(あきすけ)の子。六条家の中心人物で、俊成と並び称された。二条天皇の命で「続詞花集」を撰。著「奥義抄」「袋草紙」、家集「清輔朝臣集」など。

史料情報

  • 表題:旅行用心集
  • 年代:文化7(1810)/出所:八隅芦庵/宛所:須原屋伊八外/形態:竪帳
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3361
  • 当サイトは埼玉県立文書館から掲載許可を頂いてます。
  • ※無断転載を禁止します。

旅行用心集

1.概要 2.東海道 木曽路・3.そのⅡ 4.旅の前日 5.持ち物

6.チェックイン・7.アウト 8.食べ物 9.毒虫 10.ソリ

11.雪かき道具 12.頭巾、帽子 13.履物・14.かんじき、下駄

15.足ツボ 16.必需品 17.スーツケース 18.日記の書き方

19.天気予報 20.白澤 21.旧国名地図

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