解読文
原文
○日和見様(ひよりみやう)の事并古歌(こか)諺(ことわざ)
一 夜(よる)の九ツ時、昼(ひる)の五ツ時七ツ時より降出したるは長雨也、又昼の四ツ時六ツ時の降出しは、少しの間にて日和になる也、又夜の五ツ時七ツ時、昼の九ツ時の降出しは、はら/\雨にて早速(さつそく)止(やむ)也、又昼の八ツ時六ツ時、夜の四ツ時のふり出しは僅(はつか)半日計りにてあかるなり
現代語訳
○空模様の様子の事ならび古歌(こか)諺(ことわざ)
- 夜の12時、朝の8時、夕方5時からの降り出しは長雨である。
- また朝の10時、夕方6時の降出しは少しの間で晴れる。
- また夜の9時、明け方の4時、昼の12時の降出しは、はらはら雨にて早速止む。
- また昼の2時、夕方6時、夜の10時の降出しは、僅か半日ばかりにて上がる。
解説
雨の降り出す時間帯によって細かく天気を予報しています。
江戸時代の時刻は不定時法なので、例えば夕方の七ツ時は現代で夏至は17時半、春分・秋分は16時半、冬至は15時半頃と変動します。
夏至と冬至の間で最大二時間くらいのズレが生じますので、現代語訳はその間をとって春分・秋分あたりに合わせて訳してみました。その際、不定時法対応表(西洋時計便覧)を参考にしましたが、大いに役立ちました。(笑) ちなみに本書巻頭には「春燕五十三駅、秋鴻七十二程」とあります。
史料情報
- 表題:旅行用心集/文化7(1810)
- 八隅芦庵 著、彫工:佐脇庄兵衛・同 伊三郎、出版元:須原屋茂兵衛・須原屋伊八
- 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3361
- 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
- ※無断転載を禁止します。
旅行用心集
1.概要 2.東海道 木曽路・3.そのⅡ 4.旅の前日 5.持ち物
6.チェックイン・7.アウト 8.食べ物 9.毒虫 10.ソリ
11.雪かき道具 12.頭巾、帽子 13.履物・14.かんじき、下駄