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旅行用心集19

江戸時代の天気予報

今日から使える?!江戸時代の天気予測を『旅行用心集』から紐解きます。

史料

天気

※無断転載禁止

解読文

原文

○日和見様(ひよりみやう)の事古歌(こか)諺(ことわざ)

一 夜(よる)の九ツ時、昼(ひる)の五ツ時七ツ時より降出したるは長雨也、又昼の四ツ時六ツ時の降出しは、少しの間にて日和になる也、又夜の五ツ時七ツ時、昼の九ツ時の降出しは、はら/\雨にて早速(さつそく)止(やむ)也、又昼の八ツ時六ツ時、夜の四ツ時のふり出しは僅(はつか)半日計りにてあかるなり

現代語訳

○空模様の様子の事ならび古歌(こか)諺(ことわざ)

  • 夜の12時、朝の8時、夕方5時からの降り出しは長雨である。
  • また朝の10時、夕方6時の降出しは少しの間で晴れる。
  • また夜の9時、明け方の4時、昼の12時の降出しは、はらはら雨にて早速止む。
  • また昼の2時、夕方6時、夜の10時の降出しは、僅か半日ばかりにて上がる。

解説

雨の降り出す時間帯によって細かく天気を予報しています。

江戸時代の時刻は不定時法なので、例えば夕方の七ツ時は現代で夏至は17時半、春分・秋分は16時半、冬至は15時半頃と変動します。

夏至と冬至の間で最大二時間くらいのズレが生じますので、現代語訳はその間をとって春分・秋分あたりに合わせて訳してみました。その際、不定時法対応表(西洋時計便覧)を参考にしましたが、大いに役立ちました。(笑) ちなみに本書巻頭には「春燕五十三駅、秋鴻七十二程」とあります。

史料情報

  • 表題:旅行用心集/文化7(1810)
  • 八隅芦庵 著、彫工:佐脇庄兵衛・同 伊三郎、出版元:須原屋茂兵衛・須原屋伊八
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3361
  • 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
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旅行用心集

1.概要 2.東海道 木曽路・3.そのⅡ 4.旅の前日 5.持ち物

6.チェックイン・7.アウト 8.食べ物 9.毒虫 10.ソリ

11.雪かき道具 12.頭巾、帽子 13.履物・14.かんじき、下駄

15.足ツボ 16.必需品 17.スーツケース 18.日記の書き方

19.天気予報 20.白澤 21.旧国名地図

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