解説
まず史料、時計の上の月を確認しましょう。左から旧暦の「十一月ノ中」は冬至、「八月二月ノ中」は秋分と春分、「五月ノ中」は夏至を表しています。
次に時間を確認。時計下の表・左側上段には「午(うま)時 昼九ツ」「未(ひつじ)時 昼八ツ時」の記載が見えます。現代人には何時だかよくわかりませんね。その隣りに答えが書いてあります。
冬至は(午後)十二時~一時四十九分四十八秒過ぎ、秋分春分は同時~二時十二分過ぎ、夏至は同時~二時三十七分四十八秒過ぎの間。昼の時間帯が冬至から夏至にかけて、長くなっていくことが確認できました。
ところで昼八ツは、午後の間食・おやつの時間として現在まで命脈を保っています。どの季節も史料から、昼八ツが午後三時に含まれていることも見て取れます。
ともあれ『西洋時計便覧』は西洋時計の解説書ですが、現代から見ると不定時法の解説書になります。江戸時代の不定時法を理解されたい方は、是非当史料ご活用ください。
史料情報
- 表題:西洋時計便覧
- 年代:明治二年(1869)/柳河春三著、柳河氏采英書屋刻・東京 宝集堂発兌
- 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3335
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西洋時計便覧
4.懐中時計 表面 5.開図 6.調整 7.刻み方 8.見方
9.図解 時計の読み方 10.不定時法対応表