解読文
かんじき(史料上)
是は鉄(てつ)にて鎹(かすかい)の如く作り、草履(ぞうり)の下へはき、雪の上すべらぬ為のものなり、又手軽(てかる)く作りて、沓草履(くつぞうり)等の下へはくなり、商人、田舎の人、是を用ざるものなし
かんじき(史料下)
蔓(つるもの)にて作(つく)り、わらじの下へはき、雪の深き処へふみ込ぬ為なり、山樵(きこり)又は鷹狩(たかゝり)等の人多くこれをはく
草履下駄(ぞうりけた)
是は雪の氷りたる日に、坂の上又は橋の上なと小児此下駄をはき辷(すべ)り、戯れ遊ふなり
もつとも寒気強き日程よくすへるなり、一ト足に三四十間より五六十間も走るなり、此下駄をつくる木も雪車(そり)を作るヲノヲレ也
竹下駄(たけけた)
此外、下駄も草履下駄の如く辷(すべ)る也、是は辷るに曲ることなくまつすくにはしるなり、近年多くこれを用ゆるといふ、是等旅具にあらざれとも雪国のみの物故出也
解説
- 一ト足に三四十間より五六十間:ひと足に50m~70m
- 旅行や作業などの際、すねに巻きつけてひもで結び、動きやすくしたもの。
- 頭はかりな:つま先部分を
史料は前頁に続き、江戸時代の寒い国の履物のご紹介。雪の上の滑り止めのかんじき、氷の上で子供が遊ぶための草履下駄、大人も遊べる?近年流行っている竹下駄を紹介しています。
竹下駄は絵を見ると、竹を真っ二つに割っただけのシンプルさ。これで氷の上を江でスースーすべっていたということでしょうか。すごい面白そう…(笑)
史料情報
- 表題:旅行用心集/文化7(1810)
- 八隅芦庵 著、彫工:佐脇庄兵衛・同 伊三郎、出版元:須原屋茂兵衛・須原屋伊八
- 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3361
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旅行用心集
1.概要 2.東海道 木曽路・3.そのⅡ 4.旅の前日 5.持ち物
6.チェックイン・7.アウト 8.食べ物 9.毒虫 10.ソリ
11.雪かき道具 12.頭巾、帽子 13.履物 14.かんじき、下駄