解読文
原文
相傾キ家業疎致候ハヽ、不及助合右之段村役人江可申出事
一、博奕三笠附惣而賭之諸勝負、兼而重キ御禁制ニ候得者、堅仕間敷候、近年別而博奕之儀御厳重被 仰渡も有之間弥堅相守可申候、若心得違二而右之類に相抱候歟、或者異見等をも得心不仕候不届之者、後日以ケ様之悪事仕出し組合江難儀可及も難計候条、右之段御訴訟申上組合相除可申事
一、組合地分親類之好身ニ候とも、家業疎にいたし困窮ニおよひ候事、我乍存身持不埒ニ立廻り候者之身之上ニ付、金銀地所質入ニよらす無差与請判口入仕間敷候、難心得品々売買質物貸借しを話堅仕間敷事
一、其日帰之所江罷越候とも、行先を宿元ゟ無間違可申置候、壱人者ハ組合ゟ可申聞置候 >>読み下し文
現代語訳
九条続き(悪事に)傾き家業を疎うならば、助け合わず右の件を村役人へ申し出ること。
第一〇条
博奕(ばくち)、三笠附(みかさづけ:いろは二一字のうち三字を当てる賭博)総じてこの賭け諸勝負は、兼ねて重く禁止されているので絶対にやらないこと。近年とりわけ博奕のことは特に命令されて、あってはならず必ず守ること。
もし考え違いで右の仲間を抱えたり、あるいは説教等も聞き入れないけしからぬ者は、後日どんな悪事をして五人組へ迷惑を及ぼすことは計り知れないとして、右の条項により訴訟をして五人組から除くこと。
第一一条
五人組・縁者・親類と親しく交際していても、家業を疎かにしては困窮に及ぶ。自分のことながら考え、素行が道理に外れた立ち振る舞いの者に対し、金銀・土地の質入によらず、請判(うけはん:請人が保証の証拠としておす判)、金銭の仲介もしないこと。理解することが困難で難しくとも、品々を売買し、質物や貸借の話は絶対にしないこと。
第一二条
日帰りの所へ行ったとしても、行先を自宅に間違いなく言って置くこと。単独者は五人組に言って置くこと。…続く
解説
概要
用語
四行目と後ろから四、三行目に三回出てくる「仕間敷」(つかまつるまじく)は、~いたしません、~してはならないの意味で、古文書頻出用語。左頁一行目の「難計」(はかりがたく)は、見極められず、予測できずの意味です。
史料情報
読み下し文
相傾き家業疎く致しそうらわば、助合いに及ばず右の段村役人へ申しいずべき事
一(ひとつ)、博奕(とばく)三笠附(みかさづき)惣じて、この賭け諸勝負兼ねて重き御禁制にそうらえば、堅く仕るまじく候、近年別して博奕の儀御厳重仰せ渡されも、これ有り間、いよいよ堅く相守り申すべく候、
もし心得違いにて右の類に相抱えそうろうか、或いは異見(いけん)等をも得心仕ず候、不届の者、後日いか様の悪事仕り出し組合へ難儀及ぶべくも計い難くそうろうじょう、右の段御訴訟申上げ組合相除き申すべき事
一(ひとつ)、組合・地分れ・親類の好しみにそうろうとも、家業疎かにいたし困窮におよひそうろうこと、我ながら存ず身持ち不埒(ふらち)に立廻り候ものの身の上に付き、金銀・地所質入によらす差しなしと請判(うけはん)口入れ仕るまじく候、難心得品々売買質物貸借しを話堅く仕るまじき事
一(ひとつ)、その日帰りの所へ罷り越し候とも、行先を宿元より間違いなく申し置くべく候、壱人者(ひとりもの)は組合より申し聞き置くべく候