くずし字で楽しむ江戸時代

古文書ネット

  1. HOME
  2. 資料集
  3. 江戸時代の暮らし

江戸時代の暮らし4

男性家長の役割

国家が「戸籍」というもので国民の身分をガッチリ登録している国は、日本ぐらいであろう。太田哲二『「世帯分離」で家計を守る 改訂版』

男性家長の地位と役割_江戸時代

解説

家の目的

日本的な「家」の本来の目的は、家の安泰と家系の保持。

「家」というのは家を支え、家中全員が生存していけるように立ち働く「表」向きの主人と、その主人が表で安心して働けるように家中を守る「奥」(家内)とで成り立ちます。

幕府もしかり。幕府は徳川「家」の組織的拡大で、幕府と公式の儀式の場である「表」と、将軍の日常生活の場である「中奥」に対して「大奥」が存在しました。

男性家長とは

さて江戸時代、士農工商という身分制度がありましたが、一般の家の中にも男性家長を頂点としたピラミッド――身分が存在していました。明治六年 国語の教科書における父母のフォントサイズを見ても明らかです。

男性家長の役目は、家内の営みを統率すること。よって介護の知識や技術は、男性家長中心となって習得。介護はもとより育児も率先して従事。理由は女性は賢くないから、母親だけに任せてられないという考えがあったからです。

かくして家事子育て医療介護などの関する書物は、将来家長になる男性に向けられて書かれています。また印章を持つ者は家長に限ります。

江戸時代の人々の生き甲斐は、家を守ること。よって一家の長とふさわしくない判断された家長は、隠居した父母が当主たる子を勘当。婿養子なら離縁。また家内の者や共同体・同族・親類により強制的に隠居させる、といった方法がとられました。

家における忠孝は、先祖代々継承されてきた家に対するもので、家長個人ではありませんでした。

次男と婿殿の運命

家督は、きほん的にその家の長男が継ぎます。幕府の改革の一つに新田開発がありますが、次男以下はそうした新田村に活路を見出しました。また当時、婿養子にだけはなるな、と言われていたにも関わらず婿殿になってしまった場合、妻と義理の親にいびられました。

参考文献

江戸時代の暮らし

1.年貢の課せられ方 2.村方三役 3.五人組 4.男性家長 5.老後

6.仮の親子関係 7.子育て 8.無尽 9. 10.代参講 11.印鑑文化

関連記事

女大学』:子育て親の教え親の心得