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女大学その9

江戸時代の女性の子育て

史料

子育て

※無断転載禁止

解読文

子(こ)を育(そだ)つる事

凡(およ)そ子(こ)をそたつること、心得(こゝろえ)あるべき也

女はたゞ愛(あい)にのみおほれて、教(をし)ふへきことも教(をし)へず、わが儘(まゝ)気随(きづゐ)にそたつるが多(おほ)し

斯(かく)の如(ごと)くなれば、その子成長(せいちやう)して、かならず不孝(ふかう)也

稚(おさな)き時より、よく/\教(をし)へ諭(さと)し、仮(かり)にも偽(いつはり)を教(をし)へす、正(たゞ)しくおほし立べし

孟母(まうほ)だ三遷(さんせん)の意味(いみ)などを心にかけて、忽(ゆるかせ)にすべからず、人は生(うま)れ付(つき)といへど、大かたは、育(そたて)かたによりて、善(よき)にも悪(あしき)にもなるとしるべし。

現代語訳

子を育てる事

およそ、子を育てることは、わきまえておくべき事柄である。女はただ愛にのみに溺れて、教えることも教えず、我儘・気ままに育てる人が多い。

このようになれば、その子が成長すると、必ず親不孝になる。稚(おさな)い時より、よくよく教えへ諭し、かりにも偽りを教えず、正しく大きく育てること。

孟母三遷(もうぼさんせん)の意味などを心にかけて、ゆるがせにしてはいけない。人は、生まれ付きと言えど、大方は育て方によって、善くも悪くもなると知るべし。

解説

子供を我儘に育ててはいけない。というのは現代にも通じますが、理由が親不孝モンになるから!というのは面白いですね。

孟母三遷はご存知の方も多いと思いますが、子供の教育には環境を選ぶことが大切であるということです。

孟子の母が住居を、最初は墓所の近くに、次に市場の近くに、さらに学校の近くにと3度遷うつしかえて、孟子の教育のためによい環境を得ようとはかった故事です[註1]。

  

補注

註1:新村出 著, 編集『広辞苑第六版』(岩波書店、2008年)参照

史料情報

  • 表題:女大学栄文庫
  • 年代:嘉永 4. 8.(1851)/宛名:山本平吉
  • 埼玉県立文書館収蔵 小室家文書2342
  • 当サイトは埼玉県立文書館から掲載許可を頂いてます。
  • ※無断転載を禁止します。

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