解読文
原文
前頁<< 父(ちゝ))母(はゝ)寵愛(ちようあい)して、恣(ほしいまゝ)に育(そだて)ぬれば、夫(をつと)の家(いへ)に行(ゆき)て、
必(かならず)気随(きずゐ)にて、夫(をつと)に疎(うと)まれ、又(また)は、舅(しうと)の誨(をしへ)正(たゞ)しければ、堪(たへ)がたくおもひ、
舅(しうと)を恨(うらみ)誹(そし)り、中悪(なかあし)くなりて、終(つい)には追出(おひいだ)され、恥(はぢ)を曝(さら)す
女子(によし)の父母(ふぼ)にが訓(をしへ)なき事(こと)を謂(いは)ずして、舅(しうと)夫(をつと)の悪(あし)きと而巳(のみ)おもふは誤(あやまり)(なり)
是(これ)皆(みな)、女子(によし)の親(おや)のおしへなき故(ゆゑ)也
現代語訳
父母が寵愛して恣(ほしいまま)に育てたなら、女子が夫の家に行った時、必ず思いのままに振舞って夫に疎まれる。
または舅の誨(おしえ)が正しくても堪えがたく思い、舅を恨み、誹(そし)り、仲が悪くなって、ついには追い出され恥を曝(さら)すのだ。女子の父母には訓(おし)えがないことを言わないで、舅・夫だけが悪いと思うのは誤りである。これは皆、女子の親の訓えがないゆえである。
解説
娘を勝手気ままに育てないまではわかりますが、その理由がスゴイですね。さて、史料の変体仮名でわからないところがあったら、変体仮名早見表を活用してみてね。
史料情報
- 表題:女大学栄文庫
- 年代:嘉永4. 8.(1851)/栄久堂 山本平吉 梓
- 埼玉県立文書館収蔵 小室家文書2342
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