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女大学その8

江戸時代の女性の髪・化粧 意義やコツなど

江戸時代の教科書『女大学』から江戸時代の女子の身だしなみについて解説します。

史料

髪、化粧

※無断転載禁止

解読文

原文

髪(かみ)・化粧(けしやう)の事

女は、つねに心がけて髪(かみ)をけづり、またけはひをして、乱(みだ)れぬやうになすこそ、肝要(かんえう)なれ、これあながち浮(うき)たるこゝろより然(しか)るにあらず

髪(かみ)・けはひは、夫(をつと)に連(つれ)そふほどの礼(れい)を守(まも)るにて、とり乱(みだ)しぬるは、親(おや)夫(をつと)へ対(たい)し、不礼(ぶれい)なり

しかれとも、すゐぶん古風(こつう)の品(しな)・かたちよきを守(まも)りて、目(め)に立(たつ)ことく、はでにすべからず

時の流行(てうかう)にうつるも、余技(よぎ)なけれど、遊女(ゆうぢよ)めきたるいやしき造(つく)りはすべからず

現代語訳

髪・化粧の事

女は常に心がけて髪を整え、また化粧をして乱れぬようにすることこそ肝要である。

これはあながち浮いた心からそうするのではない。髪・化粧は、夫に連れ添うほどのを守ることなので、取り乱すことは、・夫に対し無礼なのだ。

しかしながら分に応じて、昔のように品格やかたちをよく守って、目立つように派手にしてはならない。時の流行に移るのもやむを得ないけれど、遊女ぽい、いやしい造りにしないこと。

解説

江戸時代の女性の髪・化粧は、本書を読むと自己表現の手段ではないことが窺えます。

『論語』(泰伯04)[文献]曰く「容貌を動かしては斯(ここ)に暴慢(ぼうまん)を遠(とほ)ざく、顔色(がんしょく)を正しては斯に信に近づく」(姿かたちをきちっときめると、人のあなどりから遠のきます。顔の表情を整えると、人の信頼に近づきます)

参考文献

平岡武夫『全釈漢文大系 第一巻 論語』(集英社、1980年 )

史料情報

  • 表題:女大学栄文庫
  • 年代:嘉永4. 8.(1851)/栄久堂 山本平吉 梓
  • 埼玉県立文書館収蔵 小室家文書2342
  • 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
  • ※無断転載を禁止します。

女大学

1.概論 2.列女伝 3.近江八景と和歌 4.手習い 5.洗濯 6.お稽古

7.裁縫 8.髪・化粧 9.子育て 10.身分格差 11.音楽活動

12.結納 13.結婚式 14.安産 15.マタニティケア 16.親の教え

17.親の心得 18.見た目より心

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