解読文
原文
針(はり)しごとの事
女子の第一にたしなひべき事は、ぬひはりのわざ也、人の妻(つま)として、夫(おつと)および□(しうと/\め)に衣類(いるゐ)を仕立(したて)てきする、元よりの任(やく)なれば、しらで協(かな)はぬ也
よしや、音曲(おんぎよく)その他(ほか)生花(いけはな)香茶(かうらせ)の湯(ゆ)等の遊芸(やうげい)に巧(たく)みなりとも、縫(ぬい)はりに疎(うと)きは、女の道といふべからず
心をこめてよく習(なら)ひ覚(おぼ)ゆべし、拙(つた)なく无器用(ぶきよう)ならば、人の見んこともはづかし
現代語訳
裁縫の仕事の事
女子が第一にたしなむべき事は、裁縫の仕事である。人の妻として、夫および舅・姑に衣類を仕立てて着せるのは、元からの役目なので知らないで避けることはできない。
たとえ音曲その他、生花・香茶の湯等の遊芸に巧みでも、裁縫に疎いのは女の道とは言わない。心を込めてよく習い覚えること。拙く無器用だと、人が見た時に恥ずかしい。
解説
『女大学』において当史料を読み解くと、江戸時代の女性が第一になすべき仕事は裁縫とし、第二の仕事が洗濯、しわ伸ばしということがわかります。
「裁縫に疎いのは女の道とは言わない。」うるせーよ、なんて全く裁縫できないからって思ったことないですよ?(笑) 最近は男性でソーイングを趣味をしている人も少なくなく、時代は変わりましたよね。
史料情報
- 表題:女大学栄文庫
- 年代:嘉永4. 8.(1851)/栄久堂 山本平吉 梓
- 埼玉県立文書館収蔵 小室家文書2342
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女大学
1.概論 2.列女伝 3.近江八景と和歌 4.手習い 5.洗濯 6.お稽古
7.裁縫 8.髪・化粧 9.子育て 10.身分格差 11.音楽活動