解読文
原文
一 女(をんな)は、容(かたち)よりも、心(こゝろ)の勝(すぐ)れるをよしとすべし
心緒(こゝろはえ)無美(よくなき)女(をんな)は、心(こゝろ)騒(さわ)かしく眼(め)恐(おそろ)しく見出(みいだ)して、人(ひと)を怒(いか)り言葉(ことば)訇(あらゝか)に物(もの)いひ、さかなく口(くち)謺(きゝ)て、
人に先立(さきだち)、人を恨(うら)み、妬(ねた)み、我身(わがみ)に誇(ほこ)り、人を謗(そしり)、笑(わら)ひ、人に勝(まさ)り顔(がほ)なるは、みな女(をんな)の道(みち)に違(たがへ)るなり
女(をんな)は、唯(たゞ)、和(やわら)き、順(した)かひて、静(しづか)なるを淑(よし)とす
現代語訳
一(ひとつ) 女は、容(かたち:外見)よりも、心の勝れるをよしとすべし。
心映えない女は心騒がしく、眼が恐ろしく見出して、人を怒り、言葉荒(あら)らかに物を言いて、意地悪く口を利いて、人に先立ち、人を恨み、妬み、我身を誇り、人を謗(そし)り、笑い、人に勝り顔になる。それらはみな女の道に違(たが)える。
女はただ、和(やわら)ぎ順(した)がって、静かなのを淑(よ)しとするのだ。
解説
史料は『漢和辞典』にもない「訇」「謺」などの漢字を使っていて、くずし字解読は結構難しいと思います。
変体仮名ですが、一行目「女は」の「は」は「者」、「容(かたち)よりも」の「も」は「毛」、「心の」の「の」は「能」をくずした字体。ちなみに現行の平仮名「は」は「波」、「も」は「毛」、「の」は「乃」を崩した字体です。
史料情報
- 表題:女大学栄文庫
- 年代:嘉永4. 8.(1851)/栄久堂 山本平吉 梓
- 埼玉県立文書館収蔵 小室家文書2342
- 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
- ※無断転載を禁止します。