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百姓往来その4

弟(てい)とは

江戸時代の往来物(教科書)『百姓往来』から、儒教道徳・弟について紐解きます。

史料

弟(てい)_百姓往来

※無断転載禁止

解読文

弟(てい)/年わかき人は物(もの)事をさしひかへ、おのれより一つにても、としかさなる人、其ほか我より位(くらゐ)ある人には、取わけ慇懃(いんぎん)にあしらひ敬(うやま)ふべし

おのれを憍(たかふ)り、人をかろしむることなかれ、人に憎(にく)まるれば、災(わざわひ)をもとむるものなり/哥ニ 人にたゞ まけしと思ふ 心こそ やがてわが身の あたと成なり

現代語訳

弟(てい)[1]/年若い人は、物事を差し控え、自分より一つでも年を重ねた人、その外、自分より位の高い人には取り分け丁寧にもてなし敬うべし[2]。おごり高ぶって人を軽んじることなかれ。人に憎まれれば災いを招く。

歌に「人にただ まけしと思ふ 心こそ やがてわが身 あたと成なり」(人にただ負けじと思う心こそ、やがてわが身の仇となる)

補註

  1. 弟…『論語』学而06「出(い)でて弟、慎みて信あれ」(外に出ては悌順(ていじゅん)、言行を謹んで裏切ることをするな)
  2. 自分より一つでも年を…『論語』学而02「其の人と為(な)りや孝弟(こうてい)にして、上(かみ)を犯すことを好む者は鮮(すく)なし」(その人がらが親に孝、兄弟に悌でありながら、年長にさからうことを好む者は、めったにない)

解説

『百姓往来』冒頭の・弟・の中で一番わかりにくいのが弟だと思います。

孔子の弟子の有子(ゆうし)は「孝弟なる者は、其れ仁を為(おこ)なふの本(もと)か」『論語』学而02と言い、これは仁の根本が孝悌にあることを感慨を込めて言います。『百姓往来』においては、その文章はもとより、絵に描かれています。

  

参考文献

平岡武夫『全釈漢文大系 第一巻 論語』(集英社, 1980年 )

史料情報

  • 表題:百姓往来
  • 年代:文政 3/出所:浪花禿帚子再訂 /宛所:西村屋与八外 /形態:竪帳
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3384
  • 当サイトは埼玉県立文書館から掲載許可を頂いてます。
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百姓往来

1.百姓往来とは/2.仁徳天皇/3./4.弟/5./6./7.耕作道具/8.年貢の納め方、助郷

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