解読文
原文
(<<御)年貢者(ねんぐまいは)、口米(くちまい)共(とも)、赤玉青砕(あかたまあをくだけ)荒(あら)等(とう)無之様(これなきよう)遂(とげ)吟味(ぎんみを)
米見(こめみ)升取(ますとり)名主立合(なぬしたちあい)縄(なは)俵(たはら)念入(ねんいれ)御蔵納(おくらおさめ)津出場(つだしば)之事(のこと)別而(べつして)未進(みしん)無之様(これなきやう)可心懸(こころがくべき)者也(ものなり)
将亦(はたまた)御巡見(ごじゆんけん)遵行(じゆんこう)之節(のせつ)御伝馬者(おてんまは)御領(ごりやう)私領共(しりやう)共(とも)村々(むら/\)定大助(でうおほすけ)遠村(ゑんそん)加助役(かすけやく)并(ならび)助郷問屋(すけこうとひや)人馬(にんば)割触(わりふれ)順番(しゆんばん)宿(しゆく)
>>頭書 解読文
現代語訳
御年貢は、口米(本年貢に対する付加税)ともに、米のもみ等がないよう吟味して納めること。
米のよしあしを見分け、升を使ってはかり、名主が立合って縄・俵は注意深く蔵に納め、津出場(船積場所)のことは、とりわけ滞納ないよう心懸けるべきこと。
なおまた役人が村々を視察してまわる時、公用輸送にあてた馬(伝馬)は、幕府領や旗本・私領ともに、大助郷(おおすけごう:定助郷)、遠村は加助郷(かすけごう)ならびに(宿役人としての)伝馬問屋(といや)は人馬を各助郷村に割振り、お触れの順番…(史料ここまで)
MEMO
百姓の務めである、年貢の納め方や助郷について書かれており、往来物(教科書)というより実用書に近いです。本文上部の頭書(かしらがき)は当時の文房具等の名前が並び、実用であるならば逆に、百姓といえど読み書きに無縁ではないことが伺えます。
頭書 解読文
(香筋 こうじ=きようじ )立(たて)、吸物(すひもの)椀(わん)丼鉢(どんぶりばち)硯蓋(すゞりふた)手匣(てばこ)文箱(ふみはこ:書状入れ)
料紙箱(りやうしばこ:用紙入れ)硯筥(すゞりばこ:硯、墨・筆入れ)水滴(みづいれ)墨台(ぼくだい)筆架(ひつか:筆かけ)硯屏(けんびやう:硯の前にかける)文鎮(ぶんちん)卦算(けいさん:文鎮)卓(しよく)机(つくえ)文台(ぶんだい:歌会の際の小机)脇息(かうそく:肘掛け)屏風(びやうぶ)風衝立(ふついたて))
史料情報
- 表題:百姓往来
- 年代:文政3/浪花禿帚子 再訂、鱗形屋孫兵衛・ 西村屋与八 板
- 埼玉県立文書館寄託 小室家文書3384
- 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
- ※無断転載を禁止します。
百姓往来
1.概要 2.仁徳天皇の仁政 3.孝 4.弟 5.忠 6.信
7.農具 8.年貢の納め方、助郷