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尾張藩鷹場10

幕府の鷹場法度 尾張藩との比較

教室の生徒さんに幕府の鷹場法度(複製)をいただいたので、尾張藩鷹場法度との比較において見ていきます。

鷹場法度 条文要約

凡例

条文番号.幕府/尾張藩

  1. 諸鳥捕獲禁止/合札照合、餌差、村内殺生禁止
  2. 諸鳥追立て禁止、鳥附の場所・道の整備/道・橋の整備
  3. 上げ鳥(江戸城に運ぶ鳥)の継送り/犬猫繋ぐ、殿様来村無禁止、案山子禁止
  4. 魚類殺生は八月~三月禁止、御触れは沼川堀筋へ制札立置く/冬の田んぼ水張り禁止、川殺生禁止
  5. 鉄砲所持禁止/鉄砲所持禁止、猪鹿兔追立て禁止
  6. 猟師や鳥殺生する者の禁止/飼鳥禁止、落鳥や落の報告、諸鳥追立禁止
  7. 鷹匠頭、餌差に対し(幕府から預かった)合札照合/合札の取扱い、境杭の取扱い、人馬廻状の務め
  8. 御鷹御免大名に対し場所違いの申立て、不審者の報告/新屋敷や水車の届出
  9. 御鷹橋を毎年九月下旬に掛ける/神事の届出
  10. 病鳥・落鳥の保護と報告/猪鹿追散願期限 三月二〇日
  11. 相撲・芝居は冬~春まで無用、祭礼は届出/威鉄砲追散願期限 三月二〇日
  12. 鷹匠からの伝馬継ぎの務め/威鉄砲発砲願期限 八月一日
  13. 野犬・飼犬の村内侵入禁止/案山子願期限 九月二〇日
  14. 鷹御用の書付を昼夜風雨関わらず継送る/-
  15. 鷹匠や役人衆が来たらいい加減にしない/-
  16. 百姓の野装束(武士の旅行用の服装)禁止、領主が代わったら報告/-

共通項

  • 務め:合札の照合・取扱い、道や橋の整備、落鳥保護、来村の殿様・役人等への礼、廻状・書付
  • 禁止:村内の殺生(魚類、鳥含む)、鉄砲所持、鳥の追立
  • 届出:神事祭礼

個別事項

  • 幕府:3.上げ鳥、4.沼川堀筋の制札、6.猟師、8.御鷹御免大名、11.相撲・芝居、13.野犬・飼犬、16.野装束
  • 尾張藩:3.案山子、4.冬の田んぼ、7.境杭、8.屋敷と水車、願期限(10.猪鹿、11.威鉄砲追散、12.威鉄砲発砲、13.案山子)

解説

鷹場法度は幕府、尾張藩共に概ね記載事項は同じです。幕府は文政一〇年(1827)文政改革を断行。幕府の鷹場法度(文政一二)の方には相撲・芝居の記載もあり、当改革の影響が強く出ているように感じられます。

それに比べて尾張藩の鷹場法度は、我が道を行くといいますか、案山子の禁止が幕府の方にはないというのが逆に驚きました。鷹場法度だけ見れば、どちらが厳しいかは言い難いのです。然しながら尾張藩鷹場の方が幕府と尾張藩の二重支配を受けていたので「複雑」なぶん、大変だったと思います。

参考文献

  1. 行田市郷土博物館収蔵 堤根・増田家文書二一
  2. 榎本博「古文書講座「幕府の鷹場の古文書を読む」」資料(行田市郷土博物館、2020年6月14日)
  3. 小平市立図書館所蔵 當間家文書 M-1-14「御鷹場御法度證文御鑑札御預村〃連卵帳」弘化二巳年正月

尾張藩鷹場

概要:鷹狩鷹場組織御預り村と御案内役

鷹場法度:第一条~四条~七条~期限合札幕府鷹場

御用留:提灯八王子千人同心雉殺生人