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尾張藩鷹場7

尾張藩鷹場法度 第七条~九条(境杭、水車、神事祭礼)

史料

尾州鷹場法度_第7~9条

※無断転載禁止

解読文

原文

一 御預之御合札紛失不仕様、大切二取扱可仕、御預之御境杭大切二可仕候、御境塚垣等相損候ハ、不限風雨二早速人夫差出仕直、其上御注進可仕候事/附、御用人馬御廻状継、無遅滞急度相務可申候事

一 御鷹場之内新屋敷水車取建候ハヽ、先達而相届御鳥附相障不申様可致旨被 仰渡、承知仕候、組下二水車取建候者有之候ハヽ、先達而御訴申上御聞済之上為仕可申候事/附、新屋敷・新家作都而小屋敷補理候節も、本文同様二相心得可申事

一 神事祭礼都而大勢人集候儀仕候ハヽ、右神事取懸り不申以前御訴可申上候事

現代語訳

第七条

預かっている合札(鑑札)を紛失しないよう、大切に取り扱うべきこと。お預かりの境杭は、大切にすること。境の塚や垣などが破損したならば、風雨に限らず速やかに人を差出し、直した上で報告すること。付記:御用の人馬廻状(回覧板)は滞りなく必ず務めること。

第八条

鷹場内の新しく屋敷や水車を建てたるのなら、予め届けての居付きに障りがないよう承知すべきこと。五人組の中で水車を建てる者がいたならば、予め申し出て許可された上で建てること。付記:新しい屋敷や家を建てたり、小屋を修理する際も本文同様に心得ること。

第九条

神事など大勢人が集まる場合全て、取り掛かる前に届け出ること。

解説

第七条の境杭とは、尾州鷹場境界周辺に立つ杭で当時八三本立ってあったそうです。現在でも、練馬区立大泉第一小学校 校門前に立っていて、「従是(これより)南北尾張殿鷹場」と刻まれています。

第八条の新しい屋敷と水車の届け出制についての理由は、屋敷の普請は大きな音を出し、水車もでついたり石臼を回したりして、音を出すので、鳥がその音に驚いて逃げ出して鳥の居付きが悪くなるからです。

さて、文政ならび天保の改革で、神事祭礼は費用も莫大となり生活が困窮するするので、質素倹約に努めるよう幕府より達しが出ています。よって第九条の神事祭礼は江戸中後期、鷹場に限らず全国各地、やりにくい状況だったはずです。

史料情報

  • 小平市立図書館所蔵 當間家文書 M-1-14「御鷹場御法度證文御鑑札御預村〃連卵帳」弘化二巳年正月
  • 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
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参考文献

  1. 槇本晶子『尾州藩の鷹場について「多摩のあゆみ第50号」 』(多摩中央信用金庫、1988年)
  2. 井田実『尾張藩鷹場についての一考察「立川市史研究6 』(立川市史編纂委員会、1967年)
  3. 小平市中央図書館『小平市史料集二十一集 鷹場1』(小平市教育委員会、1997年)
  4. 小平市中央図書館『小平市史料集二十二集 鷹場2』(小平市教育委員会、1998年)

尾張藩鷹場

概要:鷹狩鷹場組織御預り村と御案内役

鷹場法度:第一条~四条~・七条~・期限合札幕府鷹場

御用留:提灯八王子千人同心雉殺生人