解説
五人組帳(ごにんぐみちょう)とは、五人組が遵守すべき法令として前書(まえがき)に列記し、組員に連判して制約させた帳簿です。
その内容は、幕府の御触書(おふれがき)の要約を集成した、治安、年貢収納、勧農、田畑売買等に関するものが多いです。よって五人組帳を読むと、五人組のことがわかるというより、当時の幕府の政策がわかります。史料の日付は文政一二丑年三月日なので、その内容は多分に文政改革が反映されています。
史料の表題は、五人組前書(まえがき)と記されていますが、五人組帳のことです。普通、本文前の文章を前書といいますが、史料の場合は全体の八割が前書で占めているので、このような表題になったのでしょう。
これとは逆に、前書よりも組員の連判の方がページ数が多い五人組帳もあります。いずれにせよ本文と呼ばずに前書としたことから、組員の連判こそが五人組帳にとって大切な意味を持っていることが伺えます。また、日本人の「人に迷惑をかけてはいけない」が、いかに根が深いかも知れます。
それでは次項よりくずし字の学習がてら、史料には何が書いてあるのか、解読していきましょう。