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江戸幕府の改革

享保の改革とは

概要

享保の改革とは、八代将軍・徳川吉宗が在任中(享保(きょうほう)元(1716)年~延享(えんきょう)二(1745)年)の約三〇年間に行った多岐に渡る政策の総称。後世の人が便宜上、享保の改革と名付けました。加えて寛政天保と併せて三大改革と呼びますが、これも後世の人が勝手にそのように呼んでいるだけです。

背景、目的

吉宗は政治について、儒者の荻生徂徠に意見を求め、徂徠はこれを『政談』にまとめました。この書によると戦国時代の「家康公のやり方のまま」幕府成立から成立から一〇〇年以上経過してしまいました。そりゃあ、普通考えて改革せねばなりません。

吉宗の頃には、貨幣経済の普及に伴う村社会での貧富の拡大、文字の普及に伴う名主など村役人の不正を糺す動きが表れがありました。よって享保の改革は、幕府の制度との現状との齟齬の解消であり、藤田覚氏が言うように「幕藩制の危機への対応策とみることはできない」でしょう。

政策

以下に享保の改革の各政策を示しますが、多岐に渡ります。

幕藩体制

  1. 足高(あしだか)の制(享保八/1723年):才能や経験をかって、家格の低い者から優れた人材と登用する。家禄がその役高に足りない場合は、在側中に限り不足額を支給する。例:大岡越前忠相(ただすけ)、田中丘隅(きゅうぐ)など
  2. 上げ米(あげまい)令(享保七/1722年):大名一万石につき一〇〇石の献納を命じる。代わりに参勤交代を緩和。三一年廃止。
  3. 鷹狩の復活:生類憐みの例で中断していた鷹狩の復活に伴い、鷹場も復活。

農政

  1. 検地:検見法から定免法を採用。
  2. 新田開発、甘藷栽培の奨励

民政

  1. 公事方御定書(くじがたおさだめがき):吉宗の命により寛政二年(1742)に完成した法典。刑事事件を担当奉行の個人的な判断ではなく、法典によって判決を下す。
  2. 倹約令:奢侈の厳禁
  3. 目安箱:一般庶民の意見を聞くため、江戸城竜ノ口評定所前に投書箱を設置。小石川養生所の設置に繋がった。
  4. 小石川養生所(ようじょうしょ):江戸市中の貧困層を無料で治療を行う病院。
  5. 漢訳洋書輸入緩和(享保七/1722年):中国で洋書を漢文に翻訳した書物のうち、キリスト教に関係ないものの輸入を許可。

結果

徂徠の『政談』では、城下に住む代官旗本と支配地の村が遠く離れていることを指摘。これを解消する代官在陣令は天保の改革まで待たねばならず、徂徠が提案したことは享保の改革でほとんど実現されていません。然しながら天明の飢饉においては、幕府の米蔵から米を緊急に被災藩に回すなど迅速な対応をして、江戸で起きた打ちこわしは三年ほどでおさまりました。

  

幕府の改革

1.江戸時代の自然災害/2.享保の改革/3.寛政の改革/4.無宿とは

5.関東取締出役/6.文政の改革/7.組合村/8.天保の改革

参考文献

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荻生徂徠『政談』

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/2019年10月21日 公開