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オススメの本18

折りたく柴の記

書籍情報

折りたく柴の記 (中公クラシックス)

著者:新井白石/翻訳:桑原武夫

出版社:中央公論新社,2004年

対象:侍が好きな人、儒者・儒教あるいは近世の政治に興味がある人

概要:サムライ自身がサムライの日常や気持ちを綴った、ありそうでない書。

紹介文

サムライ好きは多いと思いますが、白石の名を挙げる人を聞いたことがありません。近世儒者として著名な白石ですが、実は儒者の前に武人であり、武人であることを誇りにし、真の武人であるために努力を惜しまなかった人でした。

いまだ封建制といえど平和な時代にこの人一体…とその考え方についていけない所も本書には多々ありましたが、反面サムライというより貴公子、とっても純な印象も受けました。肖像も結構イケメン?

本書タイトルは、後鳥羽上皇の歌「思い出づる 折りたく柴の 夕煙むせぶも うれし忘れがたみに」(『新古今和歌集』)によるものとされます。内容は白石の自叙伝です。また白石は号で、名は君美(きんみ)と言います。以下、彼をこの美しい名で呼びたいと思います。

君美の父は下級武士でしたが、上総久留里藩土屋家の殿に気に入られ近侍。君美は明暦三年(1657)一月の大火の翌月に生まれたことにより、土屋の殿から「火の子」と呼ばれました。また殿は君美をかわいく思って三歳の時から「毎月召しだされ、そばに置いておかれた。」

そのため学問の道に入り、師匠に仕えることも叶いませんでした。土屋の殿の死後、失業、豪商の養子や婿などの話が舞い込みますが、武人として生を全うしたい君美はこれをすべて固辞。貧窮のなか家族を養い、独学で学問に精を出し、三〇歳のころに木下順庵の門をくぐります。

「いまこれらのことを考えてみると、むかし三歳で字を書くことを覚えた最初のとき、ちゃんとした先生があったならば、こんなに字がへたではなかっただろう。また六歳のときに、詩を暗誦したときから、先生について学んでいたならば、文学の教養ももう少し進歩しただろう。まして一七歳のとき、儒学に志たときから、教えみちびく人があったならば、いまのような私ではなかっただろう。」

土屋の殿への恨み節…(笑)。私も古文書や歴史について学ぶのが遅かったこともあり、思いがけず君美に親近感を持ちました。君美のお人柄にはそういう魅力があると思います。是非本書を通して、一人の「サムライ」の実直で素直な生き方と気持ちに触れてみてください。

  

オススメの本

近世概論

13.近世の三大改革/14.近世村人のライフサイクル/15.百姓たちの江戸時代/16.生きることの近世史

歴史全般

17.陰陽五行と日本の民俗/18.折りたく柴の記

図鑑

17.図録 農民生活史事典/18.復元 江戸生活図鑑

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