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五人組前書

五人組前書 三~六条 年貢米、忠孝、勧農

史料

五人組前書3~6条

※無断転載禁止

解読文

原文

一、御年貢役遂之儀、村役人より相触、日限無遅滞急度可致皆済候、格別之儀二而日限延引候ハヽ、組合申談為致皆済候様、相心得且又御年貢米之儀米撰立麁末無之様、縄俵拵戽廻シ等入念河岸出等無遅滞可致上納事

一、忠孝を励、夫婦・兄弟・諸親類睦敷召仕候ものニ至迄、平生憐愍をくわへ、面々家業大切ニ心懸可申事

一、常ニ無油断耕作精入可仕百姓不似合遊事、何二而茂仕間敷候、作物不精成もの在之ハ随分致異見不用におては可申出候

一、公事出入壱人江相懸候儀、路用雑用、当人田地・家財迄代替候而茂相償、其上而茂不足ニ候ハヽ、惣組中相賄可申候 >>読み下し文

現代語訳

第三条:御年貢納入を遂行することを、村役人より広く知らせること。期限までに遅滞なく必ず皆済すること。とりわけ期限を延ばす場合は、五人組は相談して皆済するよう心得ること。その上また御年貢米は、屑米(くずまい)やごみなどを取り除き、いい加減にしないよう米俵を拵え、注意して河岸まで運ぶなど遅滞なく上納する事

第四条:を励み、夫婦・兄・諸親類は睦敷、奉公人に至るまでいつも情けをかけ、一人ひとり家業を大切に心懸けること事

第五条:常に手抜かりなく耕作に精を入れ、百姓似合わない遊び事はどんなこともしないこと。農業に精を出さない者がいたならば、できる限り説き聞かせ、無駄な場合は申出る事

第六条:民事訴訟の当事者は、旅費・雑用を田地や家財に代えてまでも償い、そのうえ不足があれば五人組全員が賄う…

解説

  • 第三条:幕藩体制=石高制なので、年貢納入は絶対。文末にも念を押す。
  • 第四条:文政改革後文 四〇か条は、忠孝奇特者の顕彰。
  • 第五条:同改革 前文第四条は、農間余業の取り締まり。

右頁最終行「憐愍」(れんびん)は、あわれること、情けをかけること。左頁後ろから三行目「公事出入」(くじでいり)とは、民事関係の裁判のこと。同行「路用」(ろよう)は旅費のことです。

史料情報

  • 表題:五人組前書(板井村)
  • 年代:文政12. 3./出所:名主平兵衛外2名、宛所:黒川文助
  • 埼玉県立文書館所蔵 飯島家8
  • 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
  • ※無断転載を禁止します。

読み下し文

一(ひとつ)、御年貢役これを遂ぐ儀、村役人より相触れ候、日限(にちげん)遅滞無くきっと致すべく皆済候、格別の儀にて日限延引そうらわば、組合申し談致させ皆済候よう、相心得且又(かつまた)御年貢米の儀米撰立麁末(そまつ)これ無きよう、縄俵拵(たわらこしらえ)戽廻し等入念河岸出等遅滞無く致すべく上納事

一(ひとつ)、忠孝を励み夫婦・兄弟・諸親類、睦敷(むつまじく)召仕い候ものに至るまで平生(へいぜい)憐愍(れんびん)をくわへ、面々家業大切に心懸け申すべき事

一(ひとつ)、常に油断無く耕作精入れ仕るべく百姓不似合遊び事、何にても仕るまじく候、作物不精(ぶしょう)成るものこれ在るは随分異見(いけん)致し不用においては申し出(い)ずべく候

一(ひとつ)、公事出入(くじでいり)壱人へ相懸り候儀、路用(ろよう)雑用、当人田地・家財まで代替そうらいても相償い、その上にても不足にそうらわば、惣組中相賄い申すべく候

五人組前書

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