解読文
原文
自分他所江相掛候、出入ハ何分に務いたし内済いたし候様、可申談勿論非儀を以滞相企候而、組合之異見にも不用我意ニ募候、公事出入者当人価無之候共、掛物一切出申間敷候
一、小分之事二而茂、他所地頭ゟ改等請候節ハ、善悪ニよらす組合江申談、其上村役人江相達先方江、可及挨拶候、一分として相計申間敷、後日組合不及難儀候様可致事
一、徒党・騒動・悪事之頭取ハ勿論、神事仏事によらす一村ゟ懸候儀、亦者大勢難儀失墜ニ相成候事、相企頭取致候義者、近年別而御停止ニ候間堅仕間敷事
一、其身平生実体ニ候共、壱人者相煩其外難去儀二而耕作荒し候ハヽ、組合ゟ助合可申候、不埒者行詰候義、近頃存悪事 >>読み下し文
現代語訳
…第六条続き:自分が他所と争い、民事訴訟になった際はあらゆる務めをして、話し合いで和解するようにする。勿論道理から外れて悪さを企て、五人組が諭しても無駄で我儘が激しい際は、民事訴訟の手続きは当人が金がなくても、費用を一切出さないこと。
第七条:小さい事でも、他所や地元領主から調査等受けた時は、善悪によらず五人組と話し合い、そのうえ村役人へ伝え、先方へ挨拶すること。自分だけで取り計らわないこと。後日五人組に迷惑をかけないようにすること。
第八条:徒党・騒動・悪事の頭は言うまでもなく、神社の祭礼や仏教行事に限らず一村に影響を及ぼす。大勢が迷惑失墜した場合、首謀者は近年取り締まりが強化されているので、絶対にやってはならない。
第九条:その身は普段実直だとしても、単独で病気になりその外、やむを得なく耕作が荒れるようならば、五人組は助け合うこと。不届き者が行き詰まり、近頃悪事に(続く)
解説
概要
- 第六条:アルコール依存の息子の証文は、五人組がこれを諭し、旗本領主に窺っている。
- 第七条:同証文後の更生と顛末は、旗本領主からの回答への五人組を含めた対応。
- 第八条:文政改革 前文第三条の神事祭礼・婚礼・仏事の質素倹約 参照のこと。
用語
史料一行目「出入」(でいり)は民事訴訟、四行目「掛物」(かかりもの)はここでは出費の意。
史料情報
読み下し文
自分他所へ相掛り候、出入は何分に務いたし内済いたし候様、申しだんずべく、勿論非儀を以て滞り相企そうらいて、組合の異見にも不用我意に募り候、公事出入は当人価(あたい)これ無くそうろうとも、掛物(かかりもの)一切出し申すまじく候
一(ひとつ)、小分(しょうぶん)の事にても、他所地頭より改等請候節は善悪によらす組合へ申しだんず、その上村役人へ相達先方へ挨拶に及ぶべく候、一分として相計(はかり)申すまじく、後日組合難儀に及ばずそうろうよう致すべく事
一(ひとつ)、徒党・騒動・悪事の頭取は勿論、神事仏事によらす一村より懸りそうろうぎ、または大勢難儀失墜に相成りそうろうこと、相企て頭取致すそうろうぎは、近年別して御停止(ちょうじ)にそうろうあいだ堅く仕るまじく事
一(ひとつ)、その身平生(へいぜい)実体にそうろうとも、壱人(ひとり)は相煩いその外、去り難き儀にて耕作荒しそうらわば、組合より助け合い申すべく候、不埒者(もの)行き詰りそうろうぎ近頃存じ悪事
五人組前書
七~九条(民事、徒党騒動)/一〇~一二条(博奕、交際)